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代表 6年前

イングランドで高まる52年ぶり戴冠への期待。躍進に導いた「ゆとり世代」を操る指揮官の手腕【ロシアW杯】

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

躍進の理由は「くじ運」なのか?

イングランド代表
順調に準決勝まで勝ち進んできたイングランド代表。チームの一体感も上々だ【写真:Getty Images】

 翻って今大会では、くじ運に大きく恵まれている。勝負の世界で“たられば”を考えても仕方ないのだが、もし日本がイングランドのグループでチュニジア、パナマ、ベルギーと対戦していたら、イングランドと同じ2位で通過した公算は高いのではないだろうか。そして決勝トーナメントではハメス・ロドリゲスを欠いたコロンビアと当たり、準々決勝ではスウェーデンと対戦。サムライブルーもここまでいけたのではないかと考えてしまう……。

 スウェーデン戦後。高級紙『ガーディアン』のポッドキャストに登場したポール・ワトソン記者は、「『フットボール・イズ・カミング・ホーム』に間違いはないのだが」と自国愛を強調したうえで、「少し心配なのは、ここまでのイングランドは強敵と対戦していないところ。クロアチア、ベルギー、フランスは本当に強い。準決勝まで到達したとはいえ、ここまでのイングランドはチャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)レベルのチームに勝ってきただけだ」と自嘲するように話していた。

 筆者もまた、英国人の友人たちとの間で利用しているメッセンジャーアプリ『WhatsApp』のグループに、「日本代表でもここまで来れたのではないか?」という意地の悪い内容のメッセージを送ってみた。数名から戻ってきたのは、「バカを言うな」という言葉だったが、より冷静なタイプからは「そうかもしれないが、目の前に与えられた敵しか倒すことができないのだから」という返答もあった。

 確かに、言い得て妙である。イングランド代表のスカッドを机上の実力だけで判断すれば、この結果は当然ともいえる。しかしながら、今回ドイツやスペインが早期敗退し、開催国ロシアが大躍進を遂げたとおり、額面どおりに物事が進むわけではないのがフットボールだ。特にこういったビッグトーナメントでは頻繁に起こる。

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