韓国サッカー発展を阻む「兵役」の現実。日韓格差は広がる? ソン・フンミンもキャリアの危機に

2018年08月07日(Tue)9時26分配信

text by キム・ドンヒョン photo Getty Images
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ソン・フンミンすらもキャリアの危機に

イ・スンウ
アジア大会の結果次第では韓国の至宝イ・スンウにも兵役の足音が背後から忍び寄る【写真:Getty Images】

 しかし、このルールが2015年に改訂され、最低学歴を満たしていなくても兵役に就くことが定められた。トッテナムで主力として活躍する韓国代表の大黒柱ソン・フンミンや、エラス・ヴェローナに所属する若き至宝イ・スンウ、そしてポルト在籍歴を持ち、現在フランス2部のトロワでプレーするソク・ヒョンジュンなど欧州クラブでキャリアを積んできた逸材たちも、この法改正で軍隊に行かざるを得なくなった。

 ソン・フンミン、イ・スンウ、ソク・ヒョンジュンの3人はKリーグを経由せず、10代半ばから欧州に活動の場を移していた。ソン・フンミンはドイツのハンブルガーSVの下部組織出身で、イ・スンウはバルセロナのカンテラで育てられた。ソク・ヒョンジュンもアヤックスでキャリアをスタートさせている。昔の法律なら兵役の義務を果たさなくてもいい身分であったが、今では法律に縛られた身になってしまった。

 彼らのような選手たちが五輪でのメダル獲得やアジア大会での金メダル獲得に至らなかった場合、それこそ韓国サッカー界にとって大問題になる。イ・スンウやソン・フンミンは今月開幕するアジア競技大会の韓国代表メンバーに入っているが、27歳のソク・ヒョンジュンはサッカーを通じて兵役を免除されるチャンスがなく、来年にはKリーグ戻って、軍隊チーム(尚州尚武FC)への入隊を狙うしかなくなった。

 オランダ、ポルトガル、サウジアラビア、フランスなどを渡り歩き、実力を証明し続けてきた長身ストライカーには酷な話だ。ソン・フンミンも、もしアジア大会で金メダルを逃したら、ソク・ヒョンジュンと同じ道を歩まねばならない。

 実際、欧州でのプレーを断念しなければならない経験した選手もいる。この夏に、いくつかのJリーグクラブに練習生として参加したFWユ・ビョンスだ。彼はプロデビュー2年目の2010年、Kリーグで22ゴールを叩き込み、得点王に輝いた男。この実績が高く評価され、韓国代表にも招集された。

 ゴール前での鋭い動き、高いシュートスキルを持ち味とする天性のゴールハンターは、サウジアラビアのアル・ヒラルやロシアのFCロストフなどを渡り歩きながらキャリアを積む。だが、彼には兵役免除を受けるチャンスがなく、結局2017年から国の機関に勤務する「公益勤務」をこなして兵役をクリアした。もちろんこの期間、アマチュアのK3リーグに参戦するなどプレー自体をやめることはなかったが、プロのトップレベルでのキャリアがいきなり途絶えてしまったのは確かだ。

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