韓国サッカー発展を阻む「兵役」の現実。日韓格差は広がる? ソン・フンミンもキャリアの危機に

2018年08月07日(Tue)9時26分配信

text by キム・ドンヒョン photo Getty Images
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韓国人選手にとって欧州移籍の阻害要因にも

クォン・チャンフン
クォン・チャンフンはKリーグから欧州へ移籍した数少ない選手の1人【写真:Getty Images】

 しかし、この条件があるといっても、全てのアスリート、特にサッカー選手に特恵が与えられるわけではない。アジア大会や五輪のエントリー人数は1大会あたりたったの20人。この枠に入る選手を選考する時点から兵役を果たしているか否かの問題を考慮しなければならない。コーチングスタッフの悩みも大きくなる一方だ。当たり前だが、エントリーされる選手よりも外される選手は多くいるのである。

 この兵役の問題で韓国サッカー界が損をしているという見解もある。特に欧州移籍において兵役は大きな壁になってしまう。そもそも兵役の問題がクリアできていない選手に欧州から向けられる関心は非常に小さい。

 韓国で代理人として活動するA氏は「欧州クラブにとって選手はある種の財産。レアル。マドリーのようなレベルのクラブでなければ、原石をどれだけ成長させて高い値段で売れるかにフォーカスが当てられる。しかし韓国人選手は肉体的にも、メンタル的にも全盛期といえる年齢で軍隊に行かなければならない。価値が低くなるのは必然」と指摘する。

 兵役の問題をクリアしないまま国内リーグから欧州へ移籍した選手の数が、この代理人の話を裏づける。この5年でKリーグから欧州へ移籍した選手はクォン・チャンフン(ディジョン)くらいで、他に欧州にチャレンジしている兵役が残っている選手はほぼいない状態だ。

 クォン・チャンフンは22歳にしてKリーグ最高のレフティーと呼ばれた逸材だった。昨季、ディジョンではエース級の活躍を披露し、ロシアワールドカップでの韓国代表メンバー入りも当確だった。最後の最後でアキレス腱断裂という重傷を負ってワールドカップを諦めざるをえず、アジア大会も当然出場できない。現在懸命にリハビリに取り組む最中だ。言い方を変えると、クォン・チャンフンほどのレベルの選手にしか欧州のクラブは声をかけてくれないのである。

 もちろんこんなひどい環境の中でも欧州組がいなかったわけではない。現時点で韓国人の中では最も長い期間欧州でプレーしているニューカッスルのキ・ソンヨンや、昨季までクリスタル・パレスに在籍していたイ・チョンヨンはFCソウルでのプレー経験を持っているが、実はこの2人、兵役を免除されている。サッカーに専念するために中学を中退しており、最終学歴が小学校卒となっているからだ。兵役に就くための最低学歴が「中卒」だったため、彼らは自動的に免除になった。

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