韓国サッカー発展を阻む「兵役」の現実。日韓格差は広がる? ソン・フンミンもキャリアの危機に

韓国では成年男子に2年間の「兵役」という義務が課される。サッカー選手をはじめとするアスリートにとってはキャリアの全盛期を軍隊に捧げなければならないことを意味する。特に韓国サッカー界では、兵役による影響が競技そのものの発展を阻害しているのが現状だ。アスリートにとって大きな問題になる兵役と、今後どのように向き合っていくべきなのだろうか。実際に海兵隊で約2年間を過ごした経験を持つ韓国人ジャーナリストが論ずる。(取材・文:キム・ドンヒョン【韓国】)

2018年08月07日(Tue)9時26分配信

text by キム・ドンヒョン photo Getty Images
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一般人にとって兵役は「いい経験」にもなりうるが…

韓国軍
韓国の成年男子には「兵役」が課される。アスリートも決して例外ではない(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 もしも欧州のトップレベル、ラ・リーガでプレーする柴崎岳が、あるルールのせいで日本に戻らなければならないとしたら日本のファンはどう感じるだろうか。ニューカッスル・ユナイテッド移籍が決定した武藤嘉紀が、1年で日本に戻ってこなければならないとしたら、日本の皆さんはどう感じるのだろうか。

 いや、あなた自身が2年間を国のために捧げることを命じられたら、一体どういう気持ちになるだろうか。

 これは日本ではありえない「もしもの話」だが、韓国のアスリートを含む一般男性にとっては現実的な問題である。日本の読者の皆様もよくご存じであろう「兵役」のことだ。

 まず、私自身の話を少しだけ書かせていただきたい。私は日本の奈良で生まれ、大学や大学院に通うなど13年弱を日本で過ごしていた。国籍は韓国。しかしこのパスポートの色が違ったおかげで2010年、すでに決まっていた大学院への入学を延期し海兵隊へと入隊した。

 それこそ「入隊せざるを得なかった」というのが正しい表現だろう。2年後、日本に戻ってきたら同期生たちは立派な社会人になっていたり、博士課程に進学したりしていた。その間、私は銃を持たされ、北朝鮮と20kmも離れていない島で一般の歩兵として服務し、2012年1月に除隊した。

 もちろんその経験自体を否定したいわけではない。ある種の思い出になりうる時間を過ごしてきたのは確かだ。駐屯地内でサッカーをしたり、海の近くに釣りに行ったり、水泳に行ったりしたこともあった。敷地内にある図書館で本も読めたし、CDプレーヤーで音楽を聴くなど休日も割と充実していた。食生活もしっかりとしており、ジムはいつもにぎわっていた。振り返るといい思い出ばかりだ。

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