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アジア 6年前

カンボジアの夢と希望と勇気の象徴に。アンコールタイガーFCオーナー・加藤明拓氏インタビュー

text by 玉利剛一

前に向かう意志が明るい未来を切り拓く

アンコールタイガーFC
加藤オーナーには困難を笑い飛ばしてしまうユーモアがある

 8月8日に開催された日本でいう天皇杯にあたるカンボジアのフンセンカップ準々決勝2nd legでアンコールタイガーが歴史的大逆転を収めた。

 1st legの0-3という圧倒的不利な状況でも諦めず後半アディショナルタイムに直接FKを決めて3-3で延長戦突入。延長戦では先に失点する苦しい展開も延長後半アディショナルタイムに再び直接FKを決め同点。最後はPK合戦の末、準決勝進出を決めた。

 加藤氏が繰り返し選手達に伝え続けてきた“最後まで諦めずに全力で戦う姿勢”を象徴する試合となり、チームが成長していることを証明してみせた。

 この勝利を得るに至るまでには様々な困難があったはずだ。現地スタッフや選手との衝突、八百長などの不正、協会のガバナンス不足、経営難……落ち着いた口調で淡々とエピソードを話す加藤氏の言葉からは悲壮感や将来への不安は全くないように見えた。あったのは未来への希望や野心。そして、困難を笑い飛ばしてしまうユーモア。

 アンコールタイガーには夢がある。そう思わせるに十分なほどのリーダー性が加藤氏には備わっていた。「メリットはほとんどない」(加藤氏)ながら日系企業のスポンサーが集まる理由が分かる。きっとカンボジアのアンコールタイガーファンも少しずつ気が付いているはずだ。株式会社フォワードHPのトップページには加藤氏の座右の銘だという一文が掲載されている。

 前に向かう意志が明るい未来を切り拓く。

(取材・文:玉利剛一)

【了】

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