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別次元だったクロースとイスコの脅威。ローマを粉砕、レアルが持ち合わせる“二つの顔”

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ローマを一切寄せ付けず

 ローマとのゲームでも、前半からボールを支配したレアル。トニ・クロースやルカ・モドリッチがボールを保持した際には、ガレス・ベイルやイスコといった選手が相手SBとCBの間に入り込み、パスを呼び込むなど一連の動きは確立されていた。

 試合の入りが緩かったローマ相手にはこうした攻撃は非常に効果的であり、前半3分にアレクサンドル・コラロフを振り切ったベイルが決定機を迎え、その4分後にはイスコがGKロビン・オルセンと1対1の場面を作るなど序盤からアウェイチームを圧倒した。

 ただ、この日は思うように点が入らなかった。決定機を逃し続け、次第にローマの守備が安定感を保つようになってくる。

 しかし、やや攻撃が停滞し始め0-0のまま後半へ突入するかに思われた43分、イスコが直接FKを沈めて待望の先制ゴールを奪取したのだ。

 これで流れは完全にレアルに傾いた。57分には、カウンターからベイルがネットを揺らし、リードを広げることに成功。やはりカウンターの強度は落ちておらず、ポゼッションと併用しながら発揮される威力は抜群であった。ローマはもはや、レアルを止めるのに何の解決策もないという状態。試合時間はこの時点で30分ほど残されていたが、ホームチームの勝利はもう決定的という印象を受けた。
 
 そして後半ATには途中出場のマリアーノ・ディアスが見事なシュートを沈めて3-0。レアルのポゼッション、カウンターの併用はローマにとって最も厄介だった。必然の敗北という表現が正しいかもしれない。

 この日のレアルは61%の支配率を記録し、パス本数618本、パス成功率90%、シュート数は驚異の30本を記録していた。まさに今季のレアルの強さが存分に発揮された試合。ロペテギ監督がチームにもたらした変化は、限りなく大きく、そして強烈だった。

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