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セリエA 6年前

ユベントス、ロナウドとディバラは共存可能? 盤石の勝利と新システムが示した可能性

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

パスサッカー実現に大きな効果をもたらしたロナウド

クリスティアーノ・ロナウド
ロナウドの存在はパスサッカー実現に大きな効果をもたらした【写真:Getty Images】

 3バックは今季初導入だったが、これが機能した。3CBの中心となっているボヌッチが、影のレジスタとして積極的にゲームメイクに関与。ジョアン・カンセロとファン・クアドラードの両ウイングバックが高い位置でピッチの幅を取り、広げられた相手の守備組織のギャップにディバラやミラレム・ピャニッチがパスを回す。彼らはこのシステムの利点を使い、ピッチを広く使ってパスを回したというわけだ。

 だがシステムをいじっただけでこうはならない。パスサッカー実現の肝となったのは、チームプレーの基本姿勢そのものの変化だ。速攻のみならず、時にはペースを緩めながらもボールのキープを続け、相手に主導権を譲らない。ユーベはこのサッカーを終始徹底していた。

 リードを奪った後には自陣で堅い守備を敷き、相手に攻めさせながらカウンターで試合をコントロールするのが典型的な彼らのスタイル。だが今季はそこから一歩進んで、常に攻撃でのイニシアチブを握ろうとする姿勢があった。ボローニャ戦は、それがもっとも効果的に発現した試合だ。

 そしてロナウドの存在は、パスサッカーの実現においても大きな効果をもたらしていた。個人技に固執せず迷いなくボールを離して、シンプルに味方とのパス交換を織り交ぜる。ディバラとポジションを変え、前後左右に動きながら、前線のつなぎ役として90分間に渡り攻撃を組み立てた。

 CL優勝を目指す上では、当然力の上乗せが必要になる。それには戦力補強のみならず、チーム攻撃や組み立ての質の向上も肝要となるのだ。次節の相手は昨季優勝を争ったナポリ。攻撃的な姿勢を持つライバルとの一戦は、ユーベにとってはリーグの優勝争いのみならず、CLでの躍進においても重要な指標となりそうだ。

(文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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