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知られざるモドリッチの幼少時代。小さな巨人はいかにして生まれたのか? その背景にある“故郷”

text by ビセンテ・アスピタルテ photo by Getty Images

「スポーツへの投資が結果をもたらしたんだ」

 社会主義のユーゴスラビアでは、若者たちに多くの競技を実践させていた。欧州バスケットボールの歴史において、おそらく史上最高のチームであったユーゴプラスティカ・スプリトの伝説的センター、ジャン・タバックは、あの社会ではどのようなスポーツにも取り組めたことを、まるで昨日のように思い出す。

「小さい頃には水泳、水球、セーリング、バレーボール、バスケットボールを実践した。自分がどこの誰で、どこから来たのかを質問する人は誰もいなかった。そのすべてが政府から助成金を受けていたからね」

 彼が14歳の頃、地元のハンドボールチームが解散することになり、そのために従兄弟からユーゴプラスティカでの挑戦に臨むよう説得された。そのユーゴプラスティカには彼を含めて、比類のない才能が集結した。禁欲的かつほぼ軍隊的で、強い精神を持つ者しか生き残れない労働体制の中、皆の記憶に残るグループがつくり上げられていった。

 純然たる進化論と銘打ってもいい月日の中で、練習方法も進化を果たした。「イタリアやアメリカでの日々で、技術やフィジカルに関する練習方法の改革を目の当たりにした。しかし自分の国では15年前から行っていたことだった。スポーツへの投資が結果をもたらしたんだ」、タバックが断言する。

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