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セリエA 6年前

白熱のミラノダービーを彩ったイカルディ。明暗を分けた、敵エース・イグアインとの違いとは

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前半から見えたお互いの意図

 前半開始からお互いの狙いは明らかだった。ミランはGKジャンルイジ・ドンナルンマを含めた11人がしっかりとボールを回し、ゲームを組み立てに入る。スソやハカン・チャルハノールといったサイドの選手も割と低い位置でプレーし、味方のサポートに回る。そのことにより、全体のパステンポは速くなり、ハイプレスで圧力をかけたインテルの選手をうまく避けることに成功した。

 とはいえインテルのハイプレスがまったく効かなかったわけではない。ラジャ・ナインゴランを中心とした2列目の選手が連動して行う素早いプレスによってサイドに追い込まれたミランが、たまらず前に長いボールを蹴るシーンも増えていった。特に、やや足下の技術に不安のあるダビデ・カラブリアのいる相手の右サイドを重点的に狙い、セカンドボールを自分たちが拾ってショートカウンターに繋げたいという意図があったはずだ。

 そのインテルは11分、最大のチャンスを迎えた。右サイドでボールを持ったマルセロ・ブロゾビッチからのクロスをマウロ・イカルディが合わせ、先制に成功。したかに思えたが、直前にマティアス・ベシーノがボールに触れていたことにより、オフサイドの判定が下され幻のゴールとなった。

 何とかピンチを切り抜けたミランだが、攻撃面では良い形でイグアインにボールが収まらない。スソやチャルハノール、ジャコモ・ボナヴェントゥーラといった選手は果敢に前線へ飛び出すが、フィニッシュまで持ち込むことは難しかった。次第にイグアインのフラストレーションが溜まり、攻撃陣は連係を失う。徐々にインテルペースへ試合が流れそうな雰囲気を漂わせながら、前半終了のホイッスルが吹かれた。

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