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Jリーグ 5年前

英国人から見た日英のサッカー文化。「スタジアムは真逆。Jリーグの安全な空気にビックリ」

人気コラム「英国人の視点」などを執筆するショーン・キャロル氏。過去5年間にわたり発表してきたコラムやレポートを厳選してまとめた1冊『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』が好評発売中。そこで、著者であるショーン氏に改めて“日本サッカーのあれこれ”についてインタビューを敢行した。最終回となる今回は、「日本とイングランドのサッカー文化」。(文:三谷悠)

text by 三谷悠 photo by Getty Images

メンタルの強さが増した日本人選手たち

中村憲剛
日本のスタジアムは老若男女誰もが楽しめる安全な空気に包まれている【写真:Getty Images】

――ショーンさんが初めて日本サッカーを目の当たりにしたのは、11年前だそうですね。生まれ育ったイングランドとは異質のサッカー文化に、とてもポジティブな印象を抱いたとか。そして、そこからの変化はどう映っているのでしょうか。

「実際に初めて日本のサッカーを見たのは、2007年のガンバ大阪対浦和レッズ戦。それまで日本のサッカーに対するイメージはまったくなかったし、特に何かを期待したわけではなかったけど、ゲームのレベルも高くて、スタジアムの雰囲気もとても熱かった。その1、2週間前にロンドンで見た、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーのゲームとは真逆の、安全な空気に包まれていて本当にビックリしましたね。

ロンドンでは駅からスタジアムまでの道に警察が立っていて、それぞれのサポーターが鉢合わせしないように道順まで決められている。日本の場合、どちらのサポーターもスタジアムまで一緒に歩いていて、それはいいなと思いましたね。もう少し熱くなってもいいと思うけど、日本人の国民性もあるから、そのバランスが大事かな。

マーケティングを含めてJリーグはどんどんワールドワイドになってきた一方、プレーや戦術、サッカーのスタイルはあまり変わっていません。

でも、日本人選手のメンタルは強くなってきましたね。たくさんの選手がヨーロッパのクラブに移籍して、長谷部誠選手や吉田麻也選手みたいに長く活躍し続ける選手も増えてきた。それが日本でプレーする選手にも影響を与えているように思います。相手を怖がらず戦えるようになって、ACLでもお金も力もある中国の強いチームに勝てるようになってきました」

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