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ドルト、“ロイス・システム”が躍動。満喫と言えなくとも・・・ライバル退け無敗継続

text by 本田千尋 photo by Getty Images

153回目のダービーに勝利したドルトムント

 その後もロイスはボールに触り、チャンスを演出し続けた。19分、33分にはパコ・アルカセルとのコンビネーションでシャルケのゴールに迫る。42分にはナビル・ベンタレブのミスパスを拾って、そのまま左サイドのヤコブ・ブルーン・ラーセンにボールを送る。このところ“対策”を講じられて苦しんだ“ロイス・システム”が、再び機能し始めていた。

 61分、至る所で繰り広げられた肉弾戦の余波のような形でPKを与え、1点を献上したが、シャルケの狙いがハマったというよりは、運・不運の問題だった。ダニエル・カリジュリの一撃は、フェルティンス・アレナの青の情熱を煽ったが、試合の流れを引き寄せるまでには至らなかった。

 試合後にファブレ監督は、次のように振り返っている。

「PKの後でチームが好反応を示したのは好ましかったね。試合に集中し続けた。さらにフットボールをプレーした。さらにボールポゼッションを高め、より多くのゴールのチャンスを作り出した。本当に重要なことは、我々が平静を保ったことだ」

 74分、ラファエウ・ゲレイロとのコンビネーションで、ジェイドン・サンチョが左サイドからゴール前に侵入。ボールをこねて自分の間合いに持ち込み、逆転弾をねじ込む。

 試合が終盤に入ると、運動量が低下したシャルケを尻目に、さらにドルトムントは決定機を作り出した。79分にはアクセル・ヴィツェルの縦パスを受けたゲッツェが、左サイドを走るロイスにボールを送る。GKラルフ・フェアマンと1対1の局面を迎えるドルトムントの主将。ここは相手の攻守によって得点には至らなかったが、簡単にゴール前に入っていくことができた。

 さらに85分にもロイスが右サイドで好機を演出する。折り返したボールを、ゲレイロがダイレクトでシュート。左のポストを直撃する。最終的に2-1でダービーを制したドルトムントだったが、ロイスを中心に、さらに点差を広げていても何らおかしくはなかった。

 もちろん満喫とまではいかなかったが、久々に“自由”が与えられた“ロイス・システム”。決して青い熱に浮かされず、“骨”のしっかりした戦い方で、153回目のダービーに勝利した。

(取材・文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

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