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ドルトムント、“Bチーム”でも発揮する強さ。ロイス不在も…ぐらつかなかった骨組み

text by 本田千尋 photo by Getty Images

チームの総合力は高まっている

 しかし、そうした対戦相手の諸事情を差し引いたとしても、控え組のドルトムントは高いクオリティを示し続けた。安定したボールポゼッションを実現。危なげなくゲームを進めていく。そして15分には高度な連系を発揮して、死に体のモナコから先制ゴールを奪う。

 中盤の底のヴァイグルからの大きなサイドチェンジを、ゲレイロがフリック。シュメルツァーが左サイドを抉る。折り返しを走り込んだゲレイロがスルー。その後方でプリシッチが受けると、ペナルティエリア内の右を走るフィリップへ。フィリップがダイレクトで折り返したボールを、ゲレイロがさらにダイレクトで押し込む。水が淀むことなく流れるような連動で、モナコの守備陣を圧倒した。

 本職はSBのゲレイロが、SHのポジションで高いパフォーマンスを発揮したことは、モナコ戦での収穫と言えるだろう。ポルトガル代表SBは、88分には決勝点を叩き出た。ゲレイロのSH起用に目処が立てば、長いシーズンの中、主力のヤコブ・ブルーン・ラーセンを適度に休ませることができる。試合数の多い過密日程において、複数のポジションをこなすことのできる選手は、チームのクオリティを一定に保つために貴重な存在だ。

 同様に、シュメルツァーの復帰も大きい。9月26日の対ニュルンベルク戦に出場したのを最後に、怪我で戦列を離れていたベテランSBが、このモナコ戦でようやく復帰。秋頃は少し台所事情が苦しかった守備陣に、再び厚みが増してきた。

 試合後にシュメルツァーは、次のようなコメントを残した。

「今日は今シーズン僕らをこんなにも強くしているものを示したね。あまり出場機会に恵まれない選手たちも決して下を向かず、練習で出していることをモナコとの試合でも示した。このことがチームを前へと駆り立てたんだ」

 他会場ではアトレティコ・マドリーがクラブ・ブルージュに引き分けたため、グループAの首位通過を決めたドルトムント。主力は不在だったが、モチベーションの高い控え組の選手たちによって、[4-4-2]の骨組みがぐらつくことはなかった。血は通い続けた。決勝トーナメントに向けて、チームの総合力が高まっていることを示した、モナコ戦だった。 

(文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

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