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香川真司 5年前

「秋の王者」に迫るドルトムントの課題は一つ上の次元へ。“強者”としての難しさ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ブレーメンの強みは臨機応変。ただ、変わらないことも

香川真司
香川真司は出番を待つ【写真:Getty Images】

 スイス人指揮官は、ブレーメンを率いるフロリアン・コーフェルト監督の“臨機応変”を警戒する。

「ブレーメンが何度もシステム変更してきたことに対応しなければならない。[3-5-2]、[5-3-2]、[4-2-3-1]、[4-3-3]といったほとんど全てのシステムを正しく使う。これら全てに対して準備しなければならない」

 たしかにファブレ監督が話すように、コーフェルト監督の“引き出し”は多い。だが、どんな「システム変更」が行われようとも、ブレーメンのキー・プレイヤーはさほど変わらない。ゲームを作るのはマックス・クルーゼや大迫勇也に限られてくる。主将のクルーゼはボルシアMGに所属した頃のようには輝いていないが、要所で決定的な仕事をする。大迫は正確なパスで組み立てつつ、ゴール前にも顔を出し、得点に対して「常に飢えている」。ディヴィ・クラーセンとマクシミリアン・エゲシュタインは、ゲームメイカーというよりは、フィニッシャーとしての役割が期待されている。もちろんこのように粒がそろうブレーメンを決して侮ることはできないが、上辺の「システム変更」に左右されず、“ツボ”を押さえることが重要になりそうだ。また、どのようにスペースを突いていくか、という観点に立てば、「システム変更」に対してそこまで慌てる必要はないのではないか。かつてペップ・グアルディオラは「フォーメーションは電話番号に過ぎない」と言ったものである。

 一方のコーフェルト監督は、13日の会見で「マルコ・ロイス」の名前を挙げて警戒。ドルトムントのキー・プレイヤーを自由にプレーさせないために、“対策”をとってくることは考えられる。その場合、ロイスは0トップとして動き、トップ下にマリオ・ゲッツェが入ることが有効なのかもしれない。

 現在のチームの状態について、会見でミヒャエル・ツォルクSDは「常に飢えている」と語った。「次の試合に集中する」のはもちろんのこと、刻一刻と状況が変化し続ける試合の中の一瞬一瞬に、どこまで「飢え」ることができるか。かつてペップが率いたFCバルセロナのような“強者”であっても、首位の座をキープし続けることは、見かけ程に簡単ではないはずだ。

(取材・文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

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