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歯向かえば命はない。ソチ五輪という名の集金マシンと私腹を肥やす人々【億万長者クラブの真実(終)】

世界中で起こっているサッカーバブルの全貌を解き明かす。 サッカー界を「異様」とさせた億万長者たちの正体を、英国人ジャーナリストが徹底取材した『億万長者サッカークラブ』(カンゼン)から一部抜粋して公開する。(文:ジェームズ・モンタギュー/訳=田邊雅之)

text by ジェームズ・モンタギュー photo by Getty Images

巨額が投じられたソチ五輪。その裏に…

ウラジーミル・プーチン
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領【写真:Getty Images】

 プーチンに対しては、ボリス・ネムツォフも不正を告発している。

 もともと彼はエリツィン政権時代、第一副首相になったこともある人物で、プーチン政権を一貫して批判していた。ソチ五輪に関するレポートは大きな話題を呼んでいる。

 ソチで行われた2014年の冬季オリンピックは、ロシアという国家が財政力とスポーツ力を披露する場になるはずだった。ネムツォフは次のように記している。

 プーチンは、政治的なメッセージを発信する上で、いかにスポーツが重要かを常に認識していた。

 初めて大統領に当選した直後、2000年のシドニーオリンピックに向けて選手団を送り出すときには、次のように述べている。

「スポーツの勝利は、100回政治的なスローガンを掲げるよりも、国の団結心を高める」

 彼自身は熱心な柔道の愛好家であり、アイスホッケー選手でもあった。またサッカーにはほとんど関わってこなかったものの、2018年のワールドカップのような国際大会を開催することを、国威の発揚という点で最重要視していた。

 ところがネムツォフのレポートは、スポーツの国際大会がいかに食い物にされたのかを明らかにしている。当初、大会を招致するために提出された資料では、ソチ五輪の開催費用は140億ドルをわずかに上回る程度とされていた。ところが実際には、コストは510億ドルに膨れ上がり、オリンピック史上、かつてないほど高くついた大会になってしまう。

 その過程において、特に私腹を肥やしたのが、プーチンと関係の深いサンクトペテルブルクのグループだった。プーチンの学生時代からの友人であり、柔道の乱取りの相手でもあった彼らは、プーチンが権力を増大させるにつれて、リッチになっていった。

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