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アジア 5年前

韓国代表はW杯とは違う。高まる期待、59年ぶりアジア制覇へ復活の要因とは

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

遅れてやってきたヒーロー

 所属するトッテナムでは爆発するかのような勢いだ。昨年12月だけで6ゴール3アシストと大暴れ。金メダルを獲得した昨夏のアジア大会以降、ベントサッカーの中心となったソン・フンミンは11月の国際Aマッチウィークに特別休暇を取り、リカバリーにも力を入れた。それがあったからこそトッテナムでも輝きを取り戻し、アジアカップにも万全なコンディションで挑めることになった。今の勢いをUAEの舞台でも生かせるかどうかが、韓国の成功を左右する。

 だが、韓国にとっては彼の合流次期が少し難しい。ソン・フンミンが合流するのは1月14日。順調にいけば16日に行われるグループリーグ第3戦の中国戦には出場可能だが、7日や12日に行われる初戦と第2戦には出場できない。つまり、ベストメンバーで挑む大会とはいえ、ソン・フンミンがいない2戦目までが韓国にとって正念場となる。

 そのソン・フンミンの穴埋めに期待がかかるのはやはりファン・ウィジョだ。昨季、Jリーグで16ゴールを叩き込んだ得点力は脅威そのものだった。Jリーグだけでなく、韓国代表でも爆発的な得点を決めてきた。

 アジア大会のメンバー入りした際に問題視された城南FC時代の恩師との“コネ疑惑”も大会得点王獲得ですべて払拭。そのうえ、ベント監督の下では正ストライカーとしての座を獲得した。KFAが選定する韓国年間最優秀選手にも選ばれた。最高の1年を過ごしたファン・ウィジョにかかる期待は並大抵ではない。その期待に応えるには、ゴールしかない。

 そして6日、もう1人の注目すべき選手が追加招集された。“コリアン・メッシ”の異名を持つイ・スンウだ。彼は当初、今回のアジアカップメンバーから外されていた。所属チームでなかなか出場機会に恵まれず、代表からも離れていたのである。ベント監督も「彼はもっと出場するべき」と公言していた。

 だが、所属チームでの状況が一変した。エラス・ヴェローナで徐々に出場機会を増やしたイ・スンウは、12月からはファビオ・グロッソ監督の下でレギュラーを勝ち取った。6試合連続先発出場を果たし、直近のフォッジャ戦ではファンタスティックなダイビングボレーで今季初ゴールも記録した。

 そんな中、彼にとってはラッキーなことが起きた。本来メンバーに入っていたKリーグ2(韓国2部)得点王のFWナ・サンホが練習中に膝のじん帯の怪我で代表から離脱。韓国で休暇を楽しんでいたイ・スンウが急遽追加招集されることになった。着々と体を鍛えてきた彼が、突如訪れた幸運をどう生かすかも要注目だ。

(文:キム・ドンヒョン)

【了】

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