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日本代表 5年前

森保J、鍵を握る塩谷司の起用法。中東を知り尽くす男がアジア杯で救世主となるか

text by 舩木渉 photo by Getty Images

冨安をボランチに抜てきか

 初戦まで残された準備期間は2日しかない。それを踏まえたうえでトルクメニスタン戦にどのようなメンバーで臨むか予想するには、非公開で行われ3-0で勝利した5日のアル・ワフダとの練習試合が大いに参考になりそうだ。

 報道陣に公開された冒頭15分間のウォーミングアップで、先発したメンバーは判明している。GKに権田修一、フィールドプレーヤーは酒井宏樹、槙野智章、三浦弦太、冨安健洋、長友佑都、柴崎岳、堂安律、南野拓実、原口元気、北川航也という構成だった。グループリーグ初戦は彼ら11人を中心に、合流したばかりの吉田や武藤、遠藤らの状態を見ながら入れ替えていく方向になると見られる。右でん部を痛めている大迫勇也は初戦に間に合わないかもしれない。

 アル・ワフダ戦の先発メンバーを見る限りでは、センターバックを本職とする選手が3人いる。だが現実的に3バックを熟成する時間がなく、冨安をボランチ起用したという見方が強い。森保監督も「ポジションを移してやってもらった選手がいたのは確かですし、チームとしてもそういう準備ができてよかった」と今までと違うポジションで起用した選手がいたことを認めていた。

 冨安本人は中盤起用に関する質問がいくつも飛んで「ボランチをやったみたいになってますけど(笑)」と苦笑していたが、守田との入れ替わりでチームに加わった塩谷がボランチとして招集されているという見解も述べた。

 20歳の彼が「塩さんに聞いたらどこでもできると言っていましたし、ボランチとしてなんでしょうけど…」と語ったのは、自身がボランチをやったという点に報道が集中しないようにすることや、単純に塩谷が守田との入れ替わりで追加招集されたことを強調する狙いもあっただろう。その賢さはまさにボランチ向きとも言えるかもしれない。

 そして、こういったアクシデントに左右されず、チームの本来の力を発揮するには森保監督の用兵も肝になる。特にサンフレッチェ広島から互いのことをよく知る指揮官が「アル・アインでボランチをやったりしていますし、ディフェンスライン、ひょっとしたら攻撃的なことも含めて…守備の部分であればどのポジションでもできる」と土壇場で追加招集した塩谷の使い方が、決勝まで最大7試合を戦う中で成功への鍵を握るかもしれない。

 そもそも幅広い役割をこなせて、指揮官の考えを熟知し、UAEでの戦い方を誰よりも知り尽くした塩谷の追加招集は、即断即決が求められる状況下で最も合理的な選択肢だった。広島時代は3バックの右ストッパー、アル・アインでは左サイドバックを中心に、センターバックや右サイドバック、さらにはボランチとしてもプレーしている守備の万能戦士は森保ジャパンでどのように起用されるのか。

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