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日本代表、初戦苦戦は優勝へ吉兆? 04年、11年大会も悪戦苦闘。4-0発進の前回は…

text by 編集部 photo by Getty Images

日本代表
初戦を苦しみながら勝利した日本代表【写真:Getty Images】

【日本 3-2 トルクメニスタン AFCアジアカップ グループリーグ第1節】

 日本代表は9日、AFCアジアカップ・グループリーグ第1節でトルクメニスタン代表と対戦し、3-2と逆転勝利を収めた。

 苦しみながらも勝ち点3は逃がさなかった。アジアにおける日本は強豪国であり、相手から警戒される存在だ。それだけに思わぬ展開に持ち込まれることも少なくない。今回のトルクメニスタン戦も26分に失点し、0-1で前半を折り返した。相手は守備に枚数を割き、手数をかけずに攻撃を仕掛けてきた。アジア勢と対戦する際、日本は攻めあぐねた挙句にカウンターでピンチを迎えることが多いが、この試合の前半もそうした展開だった。

 それでも、後半に入ると経験豊富な選手たちが意地を見せる。56分と59分に大迫勇也が連続ゴールを奪って逆転に成功。71分には新鋭・堂安律にも得点が生まれ、森保ジャパンは白星発進となった。

 一筋縄ではいかない相手からしっかり勝利を掴んだことは評価できる。また過去のアジアカップを振り返ると、日本代表は初戦で苦しむほど頂点への視界が開けてくる傾向がある。

 例えば2004年。ジーコジャパンはオマーン代表と対戦し1-0で何とか逃げ切っている。前半開始から日本はなかなかチャンスを作れず、逆に相手のセットプレーからヒヤリとするシーンがあった。この試合は中国の重慶で行われたが、当時は反日感情が高まっており、日本は完全アウェイの状況で戦っていた。

 それでも34分、日本が試合を動かす。相手がゴール前でクリアミスすると、中村俊輔がいち早くボールに駆け寄る。華麗なタッチで2人をかわすと、左足アウトで技ありゴール。ファンタジスタが輝きを放ち、初戦をモノにした。

 例えば2011年。前年に南アフリカワールドカップでベスト16進出を果たした日本は、アルベルト・ザッケローニ監督の下でアジア大会に臨んだ。本田圭佑、長友佑都、香川真司らを擁したザックジャパンだったが、ヨルダンに大苦戦。前半終了間際の45分に失点してしまう。後半もゴールを奪えぬまま時間が経過したが、アディショナルタイムにドラマが待っていた。ショートCKから長谷部誠がゴール前にクロスを送ると、走り込んだ吉田麻也が頭でねじ込み、土壇場で引き分けに持ち込んだ。

 圧倒的な強さで頂点まで駆け上がった2000年大会や、アジアで存在感を放ち始めた段階の1992年大会は別として、04年と11年は初戦で厳しい戦いを経験したことが優勝に繋がった。

 一方、2015年大会は初戦を4-0で勝利するなどグループリーグを3連勝で突破した。しかし、準々決勝ではUAEにPK戦で敗れ8強止まりだった。

 出場している選手がそれぞれの大会で異なるのはもちろんだが、強者という日本の立ち位置はそのまま。今回も優勝候補の一角に挙げられている。相手に研究される中、森保ジャパンはどのように勝ち進んでいくのか。

 トルクメニスタンという伏兵に苦しめられたことは次節以降の糧となるはず。苦戦によって課題が見つかり、試合を重ねる中でチームの成長につなげることもできる。改めて気を引き締め、優勝を目指したいところだ。

【了】

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