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日本代表が露呈した修正必須な課題。一方で…アジアカップ制覇へウズベキスタン戦は大きな収穫に

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

日本代表
ウズベキスタン代表に勝利した日本代表【写真:田中伸弥】

【日本 2-1 ウズベキスタン AFCアジアカップ2019・グループリーグF組第3節】

 17日、日本代表はAFCアジアカップ2019・グループリーグ第3節でウズベキスタン代表と対戦し、2-1で勝利を収めている。この結果、日本はグループリーグ首位で決勝トーナメントに挑むことが確定している。

 グループ首位通過のためには勝利が絶対条件だった森保ジャパンはこの日、オマーン戦から先発メンバーを10人変更。乾貴士や塩谷司の2人は森保一体制としての日本代表では初めての出場となった。

 立ち上がり、日本代表は伊東純也のいる右サイドから良い形で攻撃を組み立てる。左サイドの乾は積極的にドリブルを仕掛け、カットインからシュートまで持ち込む場面を作ろうと試みていた印象だ。ボランチで出場していた青山敏弘も効果的な縦パスを前線を何度も送り込んでいた。

 しかし、日本はなかなか得点を奪うことはできない。逆に、ウズベキスタンに先制ゴールを献上してしまう悪い流れに持ち込まれた。40分、ハーフウェーライン付近からドストンベク・ハムダモフがスルーパスを出す。これに反応したエルドル・ショムロドフが槙野智章の背後に走り込み、ドリブルを開始。マークについてくる槙野、そしてカバーに回った三浦弦太までもを振り切り、最後は右足のアウトサイドでゴールネットを揺らした。

 このシーンではボールを受けたハムダモフに誰もプレスを寄せに行けておらず、簡単にスルーパスを出させてしまったのが痛かった。槙野は半身の状態を保ち、サイドに張っていたショムロドフを確認していたが、相手のスピードについていくことができず。カバーに入った三浦の対応もあまりに軽すぎた。

 トルクメニスタン戦、オマーン戦ではカウンターへの対応、そして今回のウズベキスタン戦では裏スペースのケア。グループリーグ3試合で守備陣の課題はかなり露呈した形となった。決勝トーナメントに向けて、ディフェンス陣の課題修正は必須である。

 とはいえ、ウズベキスタン戦はおおむね収穫の方が大きかったと見るべきだろう。失点直後の43分には、右サイドの室屋成から良質なクロスが入り、武藤嘉紀が同点弾を奪取。そして58分には塩谷が強烈なミドルシュートを叩き込むなど、難しい試合状況を見事にひっくり返した。ここまで出場機会のなかったメンバーが自分達で勝利を掴んだという紛れもない事実は、選手にとって大きな自信となるだろう。「誰が出ても戦える、そして勝てる」ということを証明したのだから、収穫がないとは言い切れない。グループリーグで最も価値のあるゲームだと言うべきだろう。

 選手個人を見ても収穫はあった。伊東は持ち味のスピードと豊富な運動量を武器に攻守において貢献。堂安律のバックアッパーとしては十分すぎる内容で試合を終えた。森保ジャパン初招集を受けた塩谷もゴールという目に見える結果を残したことは大きい。CB、SB、ボランチで起用できる同選手の存在は日本において重要だ。また、ここまで影を潜めていた武藤にも、ようやく得点が生まれた。ここを皮切りに、同選手がアジアカップ期間中に覚醒してもおかしくはない。

 そして主力選手は、十分な休息を得てベスト16に挑むことができる。そういった面も収穫なのではないだろうか。

 サブ組で挑んだグループリーグ第3節・ウズベキスタン戦は日本代表にとって価値のある試合となったのは間違いない。ここからアジア制覇までの道のりはまだ長いが、この収穫を無駄にしないためにも、トロフィーを掲げたいところである。

【了】

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