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ドイツ最高のリベロへ。長谷部誠が目指す未知の領域。狙うはCL、衰えを補完する経験と知性

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「サッカーというものは改めて面白いなっていうのを今は感じています」

 これからブンデスリーガでは、来季のCL出場圏獲得を目指す熾烈な攻防が続くだろう。2月にはELの決勝トーナメントが始まり、初戦ではウクライナの強豪シャフタール・ドネツクが待ち受ける。

「前半戦」で得た「自信」を礎に、「後半戦」でもチームを勝利へと導く出色のパフォーマンスを継続できたなら…長谷部の言うとおり、既に手にした称号が「真の評価になる」のは間違いない。

 こうして一般的にはベテランどころか、引退も視野に入ってくる年齢に差し掛かりながら、一層充実の時を過ごしている長谷部。歳を重ねる毎に、選手としての“進化”を感じているのだろうか。

 そんなこちらの無邪気に過ぎた問いに対し、長谷部は、少し逡巡しながら、次のように話してくれた。

「どうですかね…もちろん経験から来るものっていうのは、間違いなく自分の中で武器になっていると思うし、もちろん年齢を重ねれば、もちろん落ちてくるものも自分の中でも感じているし…ただ、それを補うぐらいのものを、その経験から来るものでね、今はやれているかな、っていうのは正直感じているので、サッカーというものは改めて面白いなっていうのを今は感じています」

 時の流れに抗える者はいない。歳月を重ねれば静かに押し寄せる“衰え”と、「もちろん」長谷部も無縁ではない。だが、人が過ぎ行く月日の中で失わざるを得ないものがあれば、歳を重ねてこそ得られるものもあるように、「落ちてくるもの」を自覚することで見つかったことがある。

「スピードとか、そういうものは例えば年を重ねるごとに落ちてきたとしても、それを補うだけのものが、おそらく今の自分にはある。先を読む力とか、目でプレーする部分とか、そういうところでやれるっていうのもあるし…まあ、うん、その辺は奥深いなっていうのは改めて思います」

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