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「ドロドロになりながら」。宇佐美貴史は泥臭く戦うファイターに。泥にまみれた先に新たな未来

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「もっと愚直に、もうどんな形でもいいから」

 68分、マルセル・ザビツァーのミドルシュートをGKレンジングが1度は防ぐが、ライマールに詰められて4失点目。「負けている分リスクもクソも関係ない」と考えた宇佐美は、強引にでもサイドで仕掛け、中央にポジションを移してミドルシュートを打っていったが、現実は「どしっと重く」動かし難かった。

「なんとか一矢報いるというかね、このままゼロでいい訳はないと思いましたし、4失点喰らってからも、雨の中、残ってもらっているサポーターに対して…もちろん『そんな1点じゃ足りない』って言われるかもしれないですけど、やっぱり何かを残す姿勢っていうものを出さないと、次にも繋がっていかないと思いました」

 試合終了時の電光掲示板のスコアは0-4だった。冬の冷たい雨中の大敗。その要因を、宇佐美は次のように分析する。

「今までCLクラスのチームに勝ち点を取って来ることができたので、だからこそ自信を持ってやってはいましたけど、それが少し、本当に脳裏に掠めるくらいですけど、そういう相手から僕たちは勝ち点を取ってきた分、自信みたいなもの、勇気みたいなものが、少しだけですけど過信みたいなものに変わってしまったのかなと思います。だから最初にゲームを終わらせられてしまった。

 もっと愚直に、もうどんな形でもいいから、ドロドロになりながら勝ち点3を取りに行くぐらいの感じに、もう1回チームとして立ち戻らないと。このライプツィヒ戦を良い教訓にできればいいと思います」

「もっと愚直に、もうどんな形でもいいから、ドロドロになりながら」――。

 そう語る宇佐美は、華のあるアタッカーというより、泥臭く戦うファイターだった。戦力が充実しているとは言えない昇格組のフォルトゥナで、目も当てられないような大敗や連敗を経験して辛酸を舐めながら、それでも残留を信じて奮戦すると…どうしてもメンタルはタフにならざるを得ないようだ。

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