冨安健洋、欧州取材で見た超人的な成長の理由。圧巻のイラン戦…そのポテンシャルは世界級

2019年01月29日(Tue)13時44分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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数え切れないほどのファインプレー

 ただ、当の冨安本人はいたって冷静だった。「僕は自分のプレーに集中することだけを意識しました」といつも通りの調子で、あっけらかんとしている。どう見ても冨安がデュエルで勝ち続けていることによってアズムンはフラストレーションを溜めていったのだが、「イライラしていたんですかね…。なんか長友さんと前半からやりあっていたのは見ましたけど、別に気づいていなかったです」と素知らぬ顔で語る。なんともふてぶてしい…いや、天然なだけなのか…。

 だが、これもまた彼の魅力である。周りの環境に左右されず、ブレることなく自分のプレーに集中できる。「日本の前線の選手もしっかり切り替えを早くして、ある程度限定された中でのロングボールということも多かったので、僕だけの力ではない」と謙虚な姿勢も相変わらずだ。

 イラン戦の冨安はとにかくスーパーな出来だった。試合後の表情も、これまで以上に柔らかく、余裕すら感じさせる。大会前にベルギーで「まずはピッチに立つことを目標に、練習からアピールしたいなと思います」と話していたところから、今では日本代表に欠かせない守備の要となった。

 11分には最終ラインの背後を狙ったスルーパスに鋭く反応してカバーリングに入り、アズムンにボールが渡る直前で先に触ってクリアする。38分の場面では相手が裏に蹴ったロングパスに対し、アズムンの飛び出しを抑えながら、GK権田が前に出てボールをキャッチする時間を作り出す。40分には相手のアーリークロスに対し、入れ替わろうとしたアズムンを抑えて後ろ向きに走りながらヘディングでクリア。62分にはイランのクリアボールの軌道を先読みし、動き出したアズムンの前に入って弾き返す。70分にもカウンターを狙ってアズムンめがけて蹴られた速いパスを、前に出てインターセプトする。

 ここに挙げきれないほど、ピンチの芽を摘む数々のファインプレーがあった。それでも冨安は「相手がそんなに工夫してこなかったから…」と謙虚で、自らのプレーを誇るわけでも、過剰な自信を口にするわけでもない。この謙虚さが成長への飽くなき意欲と地道な努力を支えている。

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