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PSGは「恥を知れ!」怒り狂うパリジャン。またもCLで失態…もはや解決不能な弱さとは

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

脆かったメンタル面

 こんな悲劇はもうないだろう、これはある意味事故のようなものだった、と思ったら、まさかの再演である。試合翌朝のレキップ紙が『ENCORE PIRE』(さらに悪い)いう見出しを掲げたように、今回の衝撃は、2年前のそれをはるかに上回っている。

 ユナイテッド戦の敗因として真っ先に挙げられているのが「メンタル面の問題」だ。試合後の会見でも、いの一番に地元紙ル・パリジャンの番記者ドミニク・セベラックが、「敗因はメンタル面にあったのでは?」という質問をトーマス・トゥヘル監督に投げかけた。

 トゥヘルの回答は、「そうとも言えるし、そうでないとも言える。失点したあとすぐに取り返した姿勢からは、メンタルの弱さはうかがえない…」というものだったが、セベラック記者は自身の記事の中でも「PSGの心理面での弱さは、もはや解決不能かもしれない」と書いている。

 また、リヨンのブルーノ・ジェネジオ監督のように、「第1戦での戦いぶりから、世間はすでに準々決勝に思いが飛んでいた。この風潮に選手たちのマインドも無意識のうちに毒されてしまったのでは?」という声も多い。

 あの『カンプ・ノウの悲劇』のあとで、楽観するなどさすがにありえないだろうと思っていたが、あの試合を経験しているのは、第2レグのスタメンでは、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、マルコ・ヴェラッティ、ユリアン・ドラクスラーの4人だけと意外と少ない。

 プレスニル・キンペンベは、連載しているサイト、『Bros Stories』 にビデオメッセージを投稿。試合結果を悔いる中で、「チームには、1試合目のときのような気合がなかった。どこか軽んじる気持ちがあったのかもしれない」と率直に語っている(この件でクラブから懲罰を食らう可能性があるらしいが…)。

 軽んじていたかはともかく、トゥヘルが「この試合の前はいつもより緊張していた」と明かしたように、よりプレッシャーを感じていたような気はしている。ふだん「追われる立場」になることがない彼らは、追い詰められた状況に脆い。

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