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PSGは「恥を知れ!」怒り狂うパリジャン。またもCLで失態…もはや解決不能な弱さとは

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

PSGが思っていた以上に、CLは難しい

VAR
マンU戦では試合終盤にVARが使用された。これによりPSGは相手にPKを与え、1-3で敗れる形となった【写真:Getty Images】

 放出候補として浮上しているのはトマ・ムニエやドラクスラーだ。

 そして、VARについて。ビデオ判定がない時は、「これがビデオでしっかり確認されていたなら…」と言われたものだが、導入されたらされたで、批判が出るのだからおかしなものである。

 一貫して反対していたミシェル・プラティニは日曜紙『ジュルナル・ディ・ディマンシュ』の取材に対し、「だから言わんこっちゃない」とばかりに苦言を呈した。

「このようなことが続くなら、フットボールの真のエスプリは失われる。故意でないハンドがあのように即ペナルティになるのなら、キッカーは精度の高いクロスを上げることよりも、敵の手元を狙うようになるだろう」。

 この試合では、スタジアムのシートにVARを説明するチラシが置かれるなど、UEFAはCLにVARが導入されたことをことさらアピールしていた。それもあって「どこかで一回は」というノルマ的考えもあったのかもしれない。

 そもそもPKは、与えられただけで得点となるわけではない。あの極限状態の中で、マーカス・ラッシュフォードが外していた可能性だってあるのだ。現にあの瞬間オーレ・グンナー・スールシャール監督の脳裏には、自身がモルデでプレーしていた時、バルセロナ戦でPKを外したシーンが浮かんでいたという。

「負けると人々は納得する理由を探したがるものだ」とは敗戦直後のトゥヘル監督の弁だが、CLはそれほど容易い場ではないということに尽きる。

 2011年に着任したとき、アル・ケライフィ会長は「5年以内にビッグイヤーを獲ることが目標」と鷹揚に語ったが、今季同じくラウンド16で消えたレアル・マドリーもユナイテッドも、紆余曲折の荒波を乗り越えた長い歴史を経て、ここまで来ている。

 カタール体制7年目の彼らがビッグイヤーに近づけないのは、「呪い」でも「アンラッキーだった」のでも「VAR判定が悪い」のでもなく、そうしたあらゆる状況の中で、CLで勝ち上がるということは、彼らが思っていた以上に奥深く、難しい、ということだ。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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