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フランス代表はW杯、EURO連続優勝をやってのけてしまいそうな勢い。より磨かれた機能性

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

多彩な攻撃オプション

 だから誰が、いつ、どこへ出しても、テンポよく攻撃がビルドアップされる。そこにはもちろん、それぞれの選手のパスの精度が高いというクオリティ面でのアドバンテージもある。

 ポール・ポグバなどは、相手選手が群がる密集地帯に何度もくさびのパスを通したが、よく、パスの名手が言うところの「パスコースが光の筋のように浮き立って見える」というラインが、彼にも見えているのだろう。

 周囲には相手選手が入り組んでいるにもかかわらず、まるでウォームアップ時に狭いサークル内でワンタッチのパス練習をしている時のように自在にボールを操るフランスから、アイスランド側はファウルでもしない限り、ボールを奪うことは叶わなかった。

 そしてもうひとつ、あらためて現フランス代表の強みと言えるのは、攻撃オプションの多彩さだ。

 高さがあり、ポストプレーができるジルー、カウンターの鬼エムバペ、テクニックに優れ、セットアップはもちろん、自らもどこからでもゴールが狙えるグリーズマン。この3人のどこへボールが入っても危険なチャンスになるし、最初のオプションでゴールにつながらなかった場合は、ブレーズ・マテュイディやポグバも加わってセカンドチャンス、サードチャンスと次々に狙ってくる。

 あるいは後方から、突如として右SBバンジャマン・パバールのパワフルなミドルも飛んでくる。W杯のアルゼンチン戦でフランスを救った彼の値千金のミドルシュートを記憶している人も多いことだろう。

 絶え間なくあらゆる方向から襲ってくるから、相手DFはしっかり体勢を立て直す間も与えられず、気づけばゴールを割られているのだ。

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