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フランス代表はW杯、EURO連続優勝をやってのけてしまいそうな勢い。より磨かれた機能性

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

EURO制覇も夢ではない

ディディエ・デシャン
フランス代表を率いるディディエ・デシャン監督【写真:Getty Images】

 とはいえ、アイスランド戦では、フランス側の枠内シュートは5本とそれほど多くはなかった。しかしそこから4本を得点につなげたところが「王者フランスたる所以」と敵将エリック・ハムレンをうならせた。

 チェルシーでは出番の限られているジルーも、レ・ブルーでは、ちょこまかと動くグリーズマンとエムバペと組むことで、前線でどっしりと“あてどころ”になる役割が効いている。

 フリーロールを与えられているグリーズマンは、エムバペが真ん中寄りになればすかさず右サイドに開いてバランスをとる。そしてピッチ上で誰よりも速いエムバペは、ゴールに向かう意志の強さも人一倍だ。

 この2戦は強豪国との対戦でこそなかったが、「ピッチ上で、互いをより楽に見つけられるようになっていた。自らゴールを狙う、あるいは相手のゴールを引き出してやる、という意識が見えた点も良かった」とデシャン監督も、攻撃面の効率性が向上していると評価した。

 パバール、エムバペら一部を除き、このチームの土台はEURO2016の主力選手たち、さらにウーゴ・ロリスやポグバら半数は2014年のW杯も経験している。すでに同じ顔ぶれで数年間戦ってきたことで築かれたオートマチズムの完成度は高い。

 前半のウンティティのゴールの後、アイスランド勢の渾身の守りに繰り返しチャンスが阻まれると、スタンドからは苛立ちの声も上がった。以前の彼らなら、焦る気持ちから萎縮してズルズル後退、という様子も見られたが、W杯を戦い抜いたことでメンタル面も太くなったようで、最後まで自分たちを信じて戦えるたくましさも加わったように見えた。

 ロシアW杯後に初招集されたリヨンのパワフルなMFタンギー・エンドンベレなど、新メンバーも今後加わっていくだろうが、若手が中心だったロシアW杯のメンバーは今後まだあと数年はともにやっていけそうな顔ぶれだ。

 この予選通過を決めた暁には、現行2020年のEUROまでのデシャン監督の契約は、2022年のカタールW杯まで延長されると言われている。

 現役時代、1998年のW杯に次いで2000年のEURO優勝も成し遂げたデシャン監督は、指揮官としても、W杯、EURO連続優勝をやってのけてしまいそうな勢いだ。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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