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それでもまたもロナウド。ユベントスも悩ませたアヤックスのパス。激戦はどう生まれたのか

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

劣勢の中でロナウドが決めたゴールとは?

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クリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】

 このように後方から正確なパス出しが保証されると、ピッチを広く使った攻撃が作りやすくなる。ダビド・ネレスは守備に不安のあるジョアン・カンセロの守るユーベの右サイドを果敢に攻め、また右のハキム・ツィエクは中に切り込んだのちに強烈なシュートを放って相手ゴールを脅かしていた。

 それでいて前線は、ただサイドに張った攻撃を仕掛けるだけではなかった。前線の4人は時折ボールサイドに寄り、自信を持って細かくボールをつなぐドゥシャン・タディッチを軸に細かくパスを回した。縦のポジションチェンジあり、ドリブルの切れ込みありと多彩で、必然的にユーベの守備陣も密集地に寄らざるを得なくなる。

 すると、逆サイドには大きなスペースが発生。そこに素早くSBが攻め上がり、サイドをめがけてボールを展開。密集から横の展開を使って、ユーベの守備陣を振り回した。

 ユーベの前線はデ・ヨンクらに対して効率的なプレスをはめることができず、アヤックスの組み立てを許したまま攻撃を受け続けるという悪循環。しかし劣勢の中でも相手の攻撃を受け止め、狡猾に反撃につなげる勝負強さがあることもユーベというチームの特徴だ。とりわけこの日は、各選手が高いレベルの個人技を見せ、相手のプレスを回避し攻撃へと繋げていった。

 アトレティコ・マドリー戦以来ファーストチョイスとなりつつあるフェデリコ・ベルナルデスキは、中盤深く戻って守備をするとともに、ドリブルでボールを一気に相手ゴール前に持ち込む。

 奪ったボールを攻撃へ繋げるのは他のMFもしかり。ブレーズ・マトゥイディはボール奪取のみならず左サイドの突破でも効き、ロドリコ・ベンタンクールは細かいボールコントロールで相手のチェックをかわす巧みさも見えた。そして後方では、故障欠場したジョルジョ・キエッリーニの代役で出場したCBダニエレ・ルガーニが冷静沈着なカバーリングでボールを刈り取っていた。

 そしてユーベは、劣勢だったはずの前半終了間際で先制に成功する。ゴールをもたらしたのは、またもロナウドだ。ベンタンクールが運んだボールを冷静に右のカンセロへつなぐや否や、前線へダッシュ。相手DFの視野をかいくぐって前線のスペースへ飛び出すと、カンセロのクロスをダイビングヘッドで押し込んだ。

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