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それでもまたもロナウド。ユベントスも悩ませたアヤックスのパス。激戦はどう生まれたのか

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

アヤックスのアグレッシブさはアウェイでこそ光る

 アウェイゴールを奪い、これでユーベが心理的に優位に立ったと誰もが思ったことだろう。だが、そうは簡単にいかなかった。

 後半の立ち上がりにいきなり失点。カンセロが集中を欠き、相手のミドルボールを漫然とトラップして流してしまう。それを目の前にいたダビド・ネレスに拾われ、ドリブルで持って行かれてシュートをねじ込まれた。

 そこから先は、前半にも増してアヤックスに対して防戦一方。右から左から攻め込まれ、ゴール前でしのいだと思いきや、書き出したボールをまた拾われて攻撃を食らう。ゴール前から脱出できないまま、攻撃を喰らい続けた。

 しかし、これで瓦解しないのもまたユーベというチームだ。回されても、突破されても、イージーにシュートは打たせない。ボヌッチとルガーニの両CBはゴール前のスペースを死守。レジスタとして能力は攻撃寄りであるミラレム・ピャニッチも、的確に中盤の底に入ってアヤックスのパスを遮断した。

 また一方で、攻撃でも個人技を軸に応戦。途中から出場したドゥグラス・コスタは単独で複数の守備陣を引き剥がす。85分には左からドリブル突破を図り、シュートをポストに当てた。

 さらに終盤には、カンセロが果敢に攻撃参加を図りチャンスを創出。カットインから右のアウトフロントにボールを引っ掛けて正確なクロスを出すなど、攻撃面ではインパクトのあるプレーを続けた。

 こうして、1stレグは1ー1のドロー。アヤックスのアグレッシブさは、むしろアウェイ戦で光っている。敵地であろうが関係なく攻めてくることだろう。スコア上はアウェイゴールを奪った分ユベントスが優位に立っているが、アドバンテージなどないようなものなのかもしれない。

 ただ一方でユーベには、守備の粘りと欲しい時に点が取れる攻撃力がある。果たして勝敗の行方は、どちらに転がるか。トリノで行われる16日の2stレグはより一層熾烈なものになりそうだ。

(文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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