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香川真司 5年前

香川真司は何を思うのか? ベシクタシュで残されたわずかな時。言葉に滲む異郷での“幸せ”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

目に見える数字以外にも大切なこととは?

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「サッカーに打ち込めている」という香川【写真:Getty Images】

 現時点で、ベシクタシュにやって来たことは、ポジティブな経験として捉えることができるという。香川の中に後悔は微塵もない。

「それは自分がそう捉えてなきゃいけないし、例え結果が出なくても、僕はこの経験だったり、この決断に対して全く後ろ向きな考えはないし、それを自分の力で、次に繋がるものにしていくだけかなあと思います。

 ベシクタシュに移籍して考えさせられるものがたくさんありますし、ましてや僕はローンの身なので、この半年でどうやって結果を残すのか、その結果を残す上で何が大事なのかっていうのを、日々問い質しながら…上手くいかないこともありますけど、いいチャレンジが、いい経験が自分にはできているなっていうのを非常に感じています」

 イスタンブールという異郷の地で、香川は、決して端的な数字に表すことのできない、得難い「経験」を積み重ねているようだ。

「日々、本当に感じさせられることが多いので、どうやって自分自身、結果を残していくのか、そのプロセスであったり、そういうものを日々問い質しながら、サッカーに打ち込めている。自分のメンタリティであったり、考えっていうものも、また違ったものに…日々刺激を受けながらやれているので、この経験は必ず次に繋がるな、とは思っています」

「サッカーに打ち込めている」――。それ以上の幸せはないのかもしれない。それだけでもベシクタシュに加入した価値はあるのではないか。もちろん「サッカーに打ち込めている」だけでなく、ゴールやアシストといった結果も重要だ。しかし、目に見える数字以外にも大切なことはある。

 異世界でフットボールを巡る思考の中に沈潜する日々は、香川を、次のまた違う世界に連れて行ってくれるに違いない。

(取材・文:本田千尋【イスタンブール】)

【了】

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