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ソン・フンミンがいる。トッテナム、マンC撃破最大の要因。韓国代表FWはどのような存在なのか?

text by 青木務 photo by Getty Images

ソン・フンミンへの期待感

 粘り強く戦い、少ないチャンスで仕留める。そうした戦いに活路があることは序盤でわかっており、それを示したのがソン・フンミンだった。この日早々に2点を決めており、この韓国代表が何かを起こしてくれるという期待感はチーム全体にあったのではないか。特に2点目は、ルーカス・モウラが奪う瞬間、さらに言えばラポルトのコントロールが大きくなった瞬間にはゴールに向かおうとしており、一瞬を逃がさぬよう集中していた。

 そして72分、右サイドのトリッピアーにボールが渡ると、ソン・フンミンはPA内右へフリーラン。パスを呼び込むとGKに当ててCKを獲得した。そして、2本目のCKでジョレンテがネットを揺らしたのだった。

 後半アディショナルタイム。エリクセンが後ろに出したパスが引っかかり、相手に渡る。そして、アグエロのラストパスをスターリングが決めてシティがネットを揺らした。しかし、VARによりオフサイドの判定。トッテナムは肝を冷やしたが、試合はこのまま終了。2ndレグこそ敗れたものの、初の準決勝進出を果たした。トッテナムにとって、こんなに嬉しい負けはないだろう。

 準決勝の相手はアヤックス。将来のスター候補が居並ぶヤングガンズは決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリーを、準々決勝でユベントスを下してベスト4進出を果たした。勢いに自信も肉付けしているはずだが、激闘の末に大きなものを得たのはトッテナムも同じである。

 互いにメガクラブを打ち破ったことによる過信が顔を出さなければ、素晴らしいゲームになるのではないだろうか。

(文:青木務)

【了】

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