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マンUの決壊を招いたたった1人の“サボり”。マンCが突き進む優勝街道、恐るべき質の高さ

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前半、優位に立ったのは?

 試合は予想通り、シティがボールを持ち、ユナイテッドがカウンターを狙うという展開になった。しかし、全体的にうまくいっていたのはホームチームの方だ。

 右WBに入ったアシュリー・ヤングは相手左SBのジンチェンコではなくラヒーム・スターリングを徹底的にマーク。同選手へのパスコースを防ぎ、ドリブルの突破を許さないなど自由を奪った。右CBのマッテオ・ダルミアンはPA内に侵入してくるダビド・シルバへの警戒を怠らなかった。

 このようにユナイテッドの選手はそれぞれがどの相手をマークするのか、一人がプレスに出たらどこをカバーするのか、という高い意識を持っており、まず守備面で優位に立った。綻びが生まれないユナイテッドの守備に対してシティは攻撃が停滞。何度も最終ラインにボールを戻しては、組み立てのやり直しを繰り返した。

 ユナイテッドはボールを奪ってからのカウンターもうまくハマっていた印象だ。ラッシュフォード、リンガードの2トップはボールを前に持ち出しては相手陣内深い位置まで侵入することはできていた。フィニッシュの質はやや低かったが、試合の入りとしては悪くなく、シティを困らせるには十分な出来だった。

 一人ひとりが高い意識を持ち、シティに挑んだユナイテッドのイレブンたち。連動性のある守備は、素晴らしかった。

 だが逆を言えば、一人でもサボる選手が出てくると決定機を作られてしまうということ。失点を許さないためには、とにかく90分間集中力を切らさないことが求められた。とくに最大の注意を払わなければならなかったのがインサイドハーフとCBの間のスペース。シティの選手にこのエリアを使われてしまうと、ユナイテッドにとっては危険だった。

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