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マンUの決壊を招いたたった1人の“サボり”。マンCが突き進む優勝街道、恐るべき質の高さ

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前半2つのプレーに見るシティの脅威

 たとえば35分のシーン。左サイドでボールを持ったスターリングがヤングと対峙。背番号7は細かいタッチを繰り返し、突破を仕掛けるタイミングをうかがっていた。その瞬間、D・シルバが背後のスペースを突こうと動き出す。しかしクリス・スモーリングがその動きを見逃さずカバーに回ったため、結局パスは出なかった。

 スターリングはそのままパスをフェルナンジーニョまで戻す。その瞬間ユナイテッドの選手は安心したのか、全員がボールウォッチャーになった。だが、その隙を見逃さなかったスターリングがD・シルバと同じように背後のスペースへ動き出し、フェルナンジーニョからのパスを呼び込んだ。浮き球が少し長くなったため、決定機までとはいかなかったが、繋がっていたら間違いなく失点していただろう。「一瞬でも意識を緩めたら俺たちの餌食になるぞ」といったことをピッチ上でシティの選手が示したようなシーンだった。

 さらに43分、今度はD・シルバが相手陣内中央でボールを持つと、駆け上がってきたイルカイ・ギュンドアンへパス。その後、セルヒオ・アグエロ→D・シルバ→スターリングと繋がって最後はシュート。これはダビド・デ・ヘアの好セーブがあり先制点とはならなかったが、この日一番の決定機だったかもしれない。

 このシーンで重要なのはギュンドアンの動き。ユナイテッドのインサイドハーフとCBの間のスペースに侵入できたことで、チャンスが広がったのである。

 そのエリアへの侵入を許してしまったのがポグバだ。戻りが遅れたことで、ドイツ人MFを完全にフリーにさせてしまった。たった一人の意識の低さ、悪く言えばサボりがあるだけで、シティはこんなにも効果的な攻撃が発揮できる。そうしたことをユナイテッドの選手、とくにポグバは感じなければならなかった。しかし…。

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