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長谷部誠、35歳の飛躍。自らはどう感じたのか? 枯渇する事なき意欲と晴れやかな表情

text by 本田千尋 photo by Getty Images

リベロ長谷部が機能した理由

「両方の思いが入り混じってるというか。もちろん素晴らしいシーズンだったとも言えるとも思うし、逆にラストスパートのところで、自分たちがいたポジション(CL出場権内の4位)、残り5、6試合のプレーを考えれば、やはりリーグでもより良い結果を獲れたんじゃないかという思いももちろんあるし、まあ、複雑な心境ですけど」

 長谷部は、ELの決勝トーナメントを勝ち進み、ブンデスリーガの戦いも佳境に入る「ラストスパート」の局面で、“難しさ”を感じていたという。

「周りの選手との兼ね合いで、周りが動けていない時に自分がやることが多くなると、自分のパフォーマンスも少し落ちてくるというか、やることが多くなる分、上手く行かない所が多くなってくるなあ、と。本当にチームが走れて動けて頑張ってくれている時っていうのは、自分がプレーの中ですごく狙いを定めやすいというか、そういうものを感じていたんですけど…」

 後ろを3バックにして、その中央に熟練の日本人フットボーラーを置けば、直ちにリベロの長谷部が機能するわけではない。まずチーム全体が守備の意識を統一し、高いインテンシティを保つことが不可欠だ。他の9人が守備を怠らないことで、長谷部は最後の番人としてのプレーに集中し、「狙いを定め」、要所で敵の攻撃を潰すことができる。

 だが、「周りの選手」の間にも疲労が蓄積し、「周りが動けていない」と、長谷部も「周り」をカバーしなければならない。守備の範囲と負担が増え、リベロとしてのプレーだけに集中することはできなくなってしまう。長谷部は、こうした“難しさ”を、大量失点を喫したこのバイエルン戦でも感じたという。

「残りの5週、6週の中では、そこ(リベロとして狙いを定めたプレーをすること)がすごく難しくなってきていた部分もありましたし。1人の選手として、そういうチームが難しい状況でもチームを助けたり、そういうことができる選手が本当に良い選手だと思うので、そういう部分では自分の、もっと良くしないといけないっていう気持ちもね、最後の6週で余計に感じたし、そういう部分では…まあ、まだまだですね」

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