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セリエA 5年前

冨安健洋、ボローニャ移籍の真相とは? 二人の目利きによる評価とクラブ事情から分かる期待値

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ボローニャはどのようなクラブなのか?

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ボローニャの指揮官を務めるシニシャ・ミハイロビッチ【写真:Getty Images】

 そんな冨安だが、ボローニャが獲得に乗り出したことと、そのボローニャにはチリ代表のエリック・プルガルが所属していたため、コパ・アメリカのプレーぶりはメディアもチェック。概ね「興味深い選手だ」という評価を得ている。

 昨冬にはラツィオやウディネーゼなどが調査に乗り出したというニュースも流れたが、イタリアの多くのサッカーファンにとってはまだまだ知られざる存在である。ここから、どういうインパクトをもたらしていくのか注目したい。

 さて、彼が加入する現在のボローニャとはどんなチームなのだろうか。

 スクデット獲得7回の古豪。ただ強かったのはカルチョの黎明期の話で、セリエAとBの間をいったりきたりするエスカレーター的な存在としてずっと定着していた。2004年冬からの半年間、中田英寿がプレーしていたことを記憶されている方も多いことだろう。

 ただ近年は、上のレベルに挑もうとし始めている。2014年に北米資本がチームを買収し、2015年からはカナダの乳製品王手サプート社を興した投資家ジョーイ・サプート氏が単独でオーナーとなる。

 するとまず練習場に手を入れて最新の設備とし、環境からクラブを整備する。2018/19シーズンは降格圏に陥りそうになるが、シニシャ・ミハイロビッチ監督を招聘した上で全ポジションに補強を実施。その結果残留はもとより、10位に食い込むという大健闘を見せた。

 今シーズンはその路線を継続した上で「学ぶ期間は終わった。今後は常に順位表の左側にいるようにしたい(サプート会長)」と中位以上の定着を目標に掲げた。

 レンタルで呼び寄せていた選手たちは、ことごとく買い取りオプションを行使し残留させる。そして新規獲得選手は、もっぱら成長の見込まれる若手に集中。ビゴンSDは「意欲に満ち、真面目に取り組んでくれる」という理由で、もっぱらベルギー以北の選手たちを中心に選手獲得へ臨んだ。

 もちろん、ミハイロビッチ監督も続投だ。先日には白血病を公表したが、変わらず指揮官ではあり続ける。

「2、3%程度(治療による離脱で)貢献が減るくらいであれば、他の監督を呼ぶより彼に任せた方がずっと良いと思っている」と、サバティーニは残留を明言した。プレシーズンにはスタッフが総出で彼の代行をすることになり、選手の指導方針に大きな変化はなさそうである。

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