エデン・アザール、そのプレースタイルと能力値、ポジションは? 世界最高級のドリブルが生む別格の輝き【注目選手分析(3)】

リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを始め、世界各国には際立った存在感を放つ名手が数多く存在している。そんなワールドクラスのプレイヤーは、一体どのようなスキルを持ち、どのような特徴を発揮しているのか。そのプレースタイルを解説する。第3回はベルギー代表FWのエデン・アザール。(文:編集部)

2019年08月09日(Fri)10時00分配信

シリーズ:注目選手分析
text by 編集部 photo Getty Images
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着実に上ったワールドクラスへの階段

エデン・アザール
今夏にチェルシーからレアル・マドリーへ移籍したエデン・アザール【写真:Getty Images】

 1991年1月7日、ベルギー2部などでプレーした元プロサッカー選手のティエリとベルギー女子1部でプレーしていたカリーヌとの間に、一人の男の子が誕生した。そして両親は、待望の初子に「エデン」という名を付けた。これが後に世界屈指のドリブラーとなる“エデン・アザール”の誕生であった。

 両親が元プロサッカー選手ということで、幼少期のエデン・アザールの遊び道具はやはりサッカーボールであった。家が「練習場から3メートルの距離にあった」といい、フットボールを楽しむ環境も完璧。エデン少年は生まれた時からサッカーに愛されていた存在だったのだ。ちなみに次男トルガン、三男キリアン、四男エタンも後にサッカー選手となる。

 わずか4歳でロイヤル・スタッド・ブレーヌというクラブに加入したエデン・アザールは、同チームで秘めていた才能を開花させ、あっという間に成長を遂げる。12歳のときにはAFCテュビズのユースチームへ移籍。順調なステップアップを刻んでいた。

 そんなアザールの姿を見て、下部組織に入団させようと試みたのが、運命のクラブとなるフランスのリールであった。そして当時14歳だった同選手は、母国ベルギーを離れフランスでプレーすることを決断。その後アザールは2年間を下部組織で過ごし、2007/08シーズンに見事トップチームデビューを果たした。

 トップチームでの1年目はリーグ戦わずか4試合の出場に留まったが、翌2008/09シーズンはリーグ戦で30試合に出場するなど主力として活躍。4得点2アシストという成績も残し、同シーズンにはベルギー人としては初となるリーグ・アンの最優秀若手選手賞を受賞した。さらに2009/10シーズンはリーグ戦37試合で5得点10アシストの結果を残すなど爆発。このシーズンも最優秀若手選手賞を受賞するなど、世界トップレベルへの階段を着実に駆け上がっていた。

 2012/13シーズンからはチェルシーに移籍。アザールは後に同クラブ加入の理由として元イングランド代表MFのジョー・コール氏の存在が大きかったと話している。

 そんなベルギーの名手は世界最高峰のリーグでもその力を証明し、加入1年目ながらリーグ戦34試合で9得点14アシストの成績を残す。その後もクラブにとって不可欠な存在となった同選手は4シーズン連続でリーグ戦二桁得点をマーク。昨季もリーグ戦で16得点15アシストの結果を残し、最終的にプレミアリーグにおける連続二桁得点は「5シーズン」にまで伸びた。

 こうしてチェルシーでプレミアリーグ制覇やヨーロッパリーグ制覇に貢献したアザールは、世界中が認める屈指のフットボーラーとなった。黄金期を迎えているベルギー代表でも必要不可欠な存在として活躍しており、昨年行われたロシアワールドカップではキャプテンとして同国代表を3位に導いている。

 そして今夏、アザールは兼ねてより加入を希望していたレアル・マドリーへ移籍。幼い頃からのアイドルだったというジネディーヌ・ジダン監督の下で、新たな冒険をスタートさせることになった。

そのプレースタイルは?

エデン・アザール
エデン・アザールの能力値や適性ポジションなど【写真:Getty Images】

 そんなエデン・アザールの最大の武器はやはりドリブルだ。この点は、誰もが口を揃えて言うであろう。

 アザールはドリブルの中でネイマールのような派手なフェイントはあまり使わない。どちらかと言えば緩急を巧みに使いこなして相手を抜き去るというより“剥がして”いくドリブルを得意としている。ボールを運び、一瞬スピードを緩め相手の足が止まった瞬間、再びギアを上げ縦、あるいは横へ突破。これを止めるのが非常に難しい。昨季のリーグ戦でアザールはトップとなる138回ものドリブルを成功させている。2位のウィルフレッド・ザハ(クリスタル・パレス)が同113回であることから、その威力と質は明らかだろう。

 では、同選手のドリブルがなぜこれほどまでに脅威となるのか。理由は様々あるだろう。まずは圧倒的な加速力。これは上記した通り、緩急の部分で役立っている。もう一つは身体の使い方。相手に寄せられた際に自らわざと身体を当てにいき、足を出させないことで簡単にボールを失うことがない。仮に足を出されたとしても、ファウルになるケースが多い。また、そこでうまく身体を相手より前に出せれば、守る側は後ろからボールを追わざるを得なくなり、奪うことが難しくなる。もちろんこれはフィジカルがしっかりしていなければ成り立たないが、アザールはそのあたりの強さも兼ね備えているため、全体的に強度の高いプレミアリーグでもドリブルの威力を発揮することができるのだ。過去のキャリアの中で大怪我が少ないのも、この辺りの屈強さからきているのだろう。

 そしてアザールの恐ろしさはドリブルだけではない。ラストパスの質が非常に高いのも、魅力的だ。決定力の高さなどはもちろん、プレミアリーグで過去3度も二桁アシストを叩き出しているなど、アザールはゴール前でのアイデアも豊富。昨季のプレミアリーグでもビッグチャンスの演出回数18回を記録しており、これは同リーグでは2番目に多い数字であった。ドリブルしながら相手を引き付けラストパス。この能力も高いとなると、相手DFにとってはお手上げ状態だ。

 マドリーへ移籍したアザール。銀河系軍団の新たなエースとして期待されているのは間違いなく、その恐ろしさをどこまで証明できるかに注目が集まる。プレミアリーグとはまた違った特徴を持つリーガ・エスパニョーラでもリールやチェルシーで残してきたような結果を収めることができるだろうか。

(文:編集部)

【了】

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