パウロ・ディバラ、そのプレースタイルと能力値、ポジションは? 悲運に泣き続ける至高の技術【注目選手分析(11)】

リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを始め、世界各国には際立った存在感を放つ名手が数多く存在している。そんなワールドクラスのプレイヤーは、一体どのようなスキルを持ち、どのような特徴を発揮しているのか。そのプレースタイルを解説する。第11回はアルゼンチン代表FWのパウロ・ディバラ。(文:編集部)

2019年08月27日(Tue)10時00分配信

シリーズ:注目選手分析
text by 編集部 photo Getty Images
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「宝石」と称されたアルゼンチン代表アタッカー

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ユベントスでプレーするパウロ・ディバラ【写真:Getty Images】

 イタリアとアルゼンチンをルーツに持つパウロ・ディバラは、1993年11月15日、アルゼンチン・コルドバに生まれた。少年時代は地元のインスティテュート・デ・コルドバのアンダーカテゴリーでプレー。2011年に同クラブでプロキャリアをスタートさせると、翌年、18歳のときにイタリアのパレルモへと移籍した。

 第12節のサンプドリア戦で先発したディバラは、前線から積極的にプレッシャーをかけ、ボールを持てば相手ゴールを脅かす。すると、52分、左サイドからの折り返しに左足を振り抜くと、ボールはゴールのニアサイドに突き刺さる。さらに71分、CBの間でボールを受けると、素早いターンから左足を振り抜いて2点目を決めた。センセーショナルな2得点で、存在感を示した。

 パレルモでは3シーズンで公式戦93試合に出場。21得点16アシストという結果を残して、2015年夏に、当時セリエA4連覇中のユベントスへと移籍した。

 ユベントスでは初年度からリーグ戦19得点9アシストの活躍。その名は一躍、世界中へと広がり、「La joya」(スペイン語で「宝石」の意)と称された。

 ディエゴ・マラドーナ、ガブリエル・バティストゥータ、エルナン・クレスポといったかつてのストライカーと同じように、セリエAでの活躍は、アルゼンチン代表への扉を開く。ディバラも先人に続くように、2015年10月14日に行われたパラグアイ戦で代表デビューを飾っている。

 しかし、この世代のチームには、リオネル・メッシが君臨し、カルロス・テベス、ゴンサロ・イグアイン、セルヒオ・アグエロ、アンヘル・ディ・マリアと、そうそうたるメンバーが集結。代表ではコンスタントに活躍することはできずにいた。

 今夏行われたコパ・アメリカ2019でも、グループステージ2戦目までは出番なし。メッシ、アグエロが並ぶ前線を前に、ブラジルに敗れた準決勝までは途中出場が続いた。唯一の見せ場は3位決定戦のチリ戦。22分に縦パスを受けたディバラは2タッチで相手DFを置き去りにすると、飛び出してきたGKの頭上を越すシュートでゴールを奪った。

 代表デビューから4年弱。これがディバラの代表2得点目となった。

そのプレースタイルとは?

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パウロ・ディバラの能力値や適性ポジションなど【写真:Getty Images】

 先述したパレルモ時代のサンプドリア戦の2ゴールと、コパ・アメリカ3位決定戦・チリ戦でのゴールが、ディバラの特徴を端的に表している。

 まずはサンプドリア戦の1得点目。ペナルティーエリア内左寄りでディバラはボールを受ける。ディバラとゴールの両ポストを結ぶ三角形には、相手フィールドプレーヤーがファーサイド寄りに3人。それを間接視野に捉えたディバラはニアサイドに思い切りシュートを打ち抜いた。

 結果的にDFがブラインドになってGKが反応できなかったが、反応できたとしても止められないコースにディバラはシュートを打ち抜いている。シュート技術の高さに加えて、シュートモーションの速さも特筆すべきものがある。

 次に、サンプドリア戦の2得点目。左のハーフスペースでボールを運ぶ味方に対して、ディバラは相手DFを引き連れながらボールサイドへと近寄る。相手のマークの引き渡しのズレを見逃さずにパスを引き出すと、素早いターンで前を向き、一瞬で左足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

 DFの間、もしくはDFとMFの間でボールを受ける技術。そして、狭いスペースで素早く反転して前を向く技術。反転と同時に狙うべきコースを確認してシュートを放つ技術。3つの技術がつまったゴールだった。

 そして最後にチリ戦でのゴール。MFジオバニ・ロ・チェルソからの縦パスに対して、ディバラは1タッチ目を足下に置いている。対峙したDFがそれを見て間合いを詰めたが、ディバラは2タッチ目で縦に大きく持ち出して、DFを置き去りにする。あとはGKを見ながら冷静にゴールへと流し込んでアルゼンチンにとって貴重な追加点が決まった。

 足下で受けたのにもかかわらず、細かいタッチでDFラインを抜け出す、繊細なボールタッチが際立ったシーンだった。

 ユベントスでは加入から3シーズンでリーグ戦52得点22アシストと、チームの中心選手へと活躍。しかし昨シーズン、チームはクリスティアーノ・ロナウドを獲得。絶対的エースの存在によってプレータイムは減り、昨季は5得点5アシストと、加入後最低の数字に終わった。

 クラブにはクリスティアーノ・ロナウドがやってきて、アルゼンチン代表にはリオネル・メッシがいる。主役に値する能力を持ちながらも、偉大過ぎる主役との共存を強いられる。これは、ディバラにとっては不運であると言わざるを得ない。

(文:編集部)

【了】

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