日本代表、五輪代表をめぐる1トップ争いの勢力図。「立場をひっくり返すため」、小川航基の変化とこだわり【E-1サッカー選手権】

日本代表は14日、E-1サッカー選手権で香港代表と対戦する。第1戦から大幅なメンバー変更が予想される中で、1トップにはFW小川航基の起用が見込まれる。世代別代表をけん引してきたエースだが、ここ2年は思うような活躍ができず。「一番手じゃないことも分かっている」と現状を認めつつ、巻き返しに向けて決意を語っている。(取材・文:元川悦子【韓国】)

2019年12月13日(Fri)10時53分配信

text by 編集部
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香港戦では大幅なメンバー入れ替えか

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日本代表のFW小川航基【写真:Getty Images】

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 10日のEAFF E-1サッカー選手権の初戦・中国戦を2-1で勝利した森保ジャパンは、中3日で2戦目の香港戦に挑もうとしている。12日も釜山アジアード競技場のサブグランドで夕方からトレーニングを行った。

 現地はこの日も快晴だったが、気温はグッと下がり、日中でも最高気温は8度。練習中は気温2度という厳しい寒さに見舞われた。こうした気象条件が考慮されたのか、中国戦に先発したフィールドプレーヤー10人はこの日もクールダウンに努め、早めにトレーニングを切り上げた。サブ組の練習も1時間強とそう長くはなかったが、3-4-2-1の布陣に沿ってポジションを取りながらのクロス&シュートなどを実施した。

 この時の並びは、DF(右から)渡辺剛、田中駿汰、古賀太陽、ボランチ・大島僚太、田中碧、右サイド・相馬勇紀、左サイド・菅大輝、2シャドー・仲川輝人、田川亨介、1トップ・小川航基という形。超過密日程のE-1選手権はこれまでも2戦目はメンバーをガラリと入れ替えるのが通例で、今回も同様に彼らが14日の香港戦にスタメン出場しそうな雲行きだ。

1トップをめぐる勢力図の変化

 そこで注目されるのがFW。中国戦に先発した上田綺世と香港戦に出場が濃厚の小川は2020年東京五輪を争う間柄だ。もともと97年生まれの小川がU-20世代の頃から絶対的エースと位置付けられ、2016年AFC・U-19選手権や2017年U-20ワールドカップで攻撃陣の軸を担っていたが、昨年あたりから2人の序列が入れ替わり、現在に至っている。

 その要因はいくつかある。まずは小川が2017年にヒザのケガで長期離脱を強いられたうえ、2018年になってもジュビロ磐田で思うように出番を得られなかったことが挙げられる。その傍らでU-21日本代表に抜擢された1学年下の上田が急成長を遂げ、2018年8~9月のアジア大会準優勝の原動力になった。

 こうした働きが森保一監督に認められ、今年に入ってからも上田はA代表としてコパ・アメリカ(南米選手権)に出場。小川はU-22代表に回ってトゥーロン国際に赴くことになった。2人の序列は、そこからもよくわかるだろう。

「サッカー人生において僕はいつも厳しい状況にいる。現状一番手じゃないことも分かっている」と小川は神妙な面持ちで言う。ただ、苦境に甘んじていたわけではない。東京五輪まで1年となった今年7月、出場機会を求めてJ2・水戸ホーリーホックへのレンタル移籍を決断。半年足らずでチーム最多の7ゴールを挙げる活躍を見せたのだ。

「代表でも要求することが大事」

 その自信が11月のU-22コロンビア戦に如実に出ていた。後半から入った小川は前線で存在感を発揮。堂安律のスルーパスに反応し、鋭い抜け出しから右足シュートを左ポストに当てる決定機も作った。惜しくもこれは決め切れなかったものの、状態が上向いていることを印象付けた。

「環境を変えてJ2降格争いしているチームからJ1昇格争いしているチームへ行ったことでメンタル的な充実もありましたし、最初にポンポンと点を取れたんで、みんなが僕を見てくれるようになった。僕がうるさく要求したんでそこが大きかったのかなと。だからこそ、代表でも要求することが大事」と本人も闘争心をみなぎらせている。

 次戦の相手・香港は11日の韓国戦でそうだったように、自陣に引いて人数をかけて守ってくると見られる。しかもシャドーが仲川と田川というアタッカータイプで、堂安や久保建英のようなパサーではないため、小川がU-22コロンビア戦の決定機のようなシーンを作り出すのは難しいだろう。それでも「僕が最終ラインでの駆け引きを繰り返さなければいけない」と本人も言うように、細かい動きの中から一瞬のスキを見出し、背後を取る、クロスでに反応して競り勝つといったゴールにつながる方向に持って行くことが肝要だ。

「自分の立場をひっくり返すためにも、E-1選手権の残り2試合が非常に大事になってきますし、得点のところで監督に納得させなきゃいけないと思います。何かしらのインパクトを残さないと今後は厳しいので、やっぱり得点ですね」と小川は水戸同様に結果に強くこだわっていくという。確かに上田は最近の代表活動でゴールを奪えていない。そういう状況だけに、東京五輪のエースFWを目指す小川にとってはチャンスだ。

その座を狙う田川亨介

 2013年の同大会(当時はEAFF東アジアカップ)でも、優勝の立役者となった柿谷曜一朗より序列的に低かった大迫勇也が、その後の時間の経過とともに存在感を高め、3年後に日本代表の絶対的1トップに君臨した例もある。大迫は2戦目・オーストラリア戦で初キャップながらいきなり2ゴールをマーク。決定力の高さを印象付けている。

 その姿は今の小川にとって大いに参考になるはず。やはり2戦目でチャンスを与えられるなら、得点という結果で底力を示すしかないのだ。

 上田に加え、今大会は田川もFWの一角に名を連ねている。今のところ田川は2シャドー要員と位置付けられているが、彼も年代別代表では1トップに入ることが多かった選手。「一番はゴール前に入って2点を取りたい」と、本人も限られたチャンスを手にしようと躍起になっている。森保監督も田川の1トップ起用を視野に入れながら招集していると見られるため、小川や上田は彼の追い上げも感じながらFW生き残り競争に勝つことを考えなければならないだろう。

 最終的には大迫を五輪オーバーエージで招集するというプランもあると言われるだけに、今回のE-1で上田、小川、田川の誰がFWのファーストチョイスの座をつかむのかは非常に重要な点。現時点では上田が一歩リードの状況ではあるが、香港戦でチャンスを与えられる小川の追い上げに注目したいものだ。

(取材・文:元川悦子【韓国】)

【了】

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