アーセナル、ダビド・ルイスの退場判定の真偽はいかに? 数的優位を活かせず、お粗末だったチェルシーの対応

プレミアリーグ第24節、チェルシー対アーセナルが現地21日に行われ、2-2で引き分けた。200回目となったビッグロンドンダービーは前半から退場者が出る波乱の展開に。チェルシーは数的優位を活かせずに試合終盤に失点を喫した。失点シーンの対応は中途半端になってしまった。(文:加藤健一)

2020年01月22日(Wed)10時32分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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わずか23日ぶりのビッグロンドンダービー

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退場処分を受けたダビド・ルイス(左)と失点シーンに絡んだテイミー・エイブラハム【写真:Getty Images】

 記念すべき200回目のビッグロンドンダービーは波乱の展開となった。前回対戦から3週間あまりで再び相まみえることとなった両チームは、ダービーの名に違わぬテンションの高い試合を演じた。

 2019年最後の試合となった前回対戦では、序盤から主導権を握ったアーセナルが13分に先制。しかし、前半から交代カードを切り、4バックへと変更したチェルシーが流れを手繰り寄せると、試合終盤に2点を奪って逆転勝利を収めている。

 両チームともに前回対戦からはわずか1勝しかできていない。アーセナルは直後のマンチェスター・ユナイテッド戦に勝利したものの、クリスタル・パレス、シェフィールド・ユナイテッドにはともに先制しながら後半に追いつかれて勝ち点を取りこぼした。チェルシーもブライトン戦とニューカッスル戦ではともに終盤に失点を許し、3試合で勝ち点4を得るにとどまっている。

 チェルシーは前回対戦で奏功した4-3-3でこの試合に臨んでいる。一方のアーセナルは負傷者が続出する苦しい台所事情だが、エクトル・ベジェリンが12月5日以来となる復帰を果たした。キーラン・ティアニーやセアド・コラシナツが不在の左サイドバックには、この試合でもウインガーのブカヨ・サカが起用されている。

 攻撃ではガブリエウ・マルチネッリとのコンビネーションで迫力を見せていたサカだが、守備ではチェルシーの標的となった。チェルシーはサカとマッチアップする形を作るため、あえてカラム・ハドソン=オドイに幅を取らせて孤立させた。結果としてハドソン=オドイは積極的な仕掛けを見せ、7分や32分のシーンではワンツーからフィニッシュに持ち込んでいる。

レッドカードは正しかったのか?

 アーセナルは自陣でボールを持てても、アタッキングサードにはなかなか侵入できない。敵陣で奪われるとチェルシーの推進力のあるカウンターに苦しんだ。16分までにチェルシーが5本のCKを得ていることが、前半の大勢を表している。

 試合を大きく左右するプレーは26分に生まれた。相手のクリアボールを拾ったスコドラン・ムスタフィがGKへバックパスしたが、これが短くなってしまう。詰めたFWテイミー・エイブラハムが一瞬先に触る。前に出て対応したGKベルント・レノを交わすと、エイブラハムは身体を寄せてきたダビド・ルイスに倒されてしまった。チェルシーにはPKが与えられ、ダビド・ルイスにはレッドカードが提示された。

 退場かどうかはDOGSO(Denying Obviously Goal Scoring Opportunity/決定的な得点機会の阻止)が重要な基準になる。判定にあたっては「反則とゴールとの距離」「プレーの方向」「ボールをキープできる、または、コントロールできる可能性」「守備側競技者の位置と数」という4つの項目が考慮されるが、この場面ではそれをすべて満たす状況だった。

 反則が起きたのはゴールエリアの角付近でゴールからはわずか7~8mほどだろう。ゴールと正対してはいないが、エイブラハムはシュートが可能な体勢をとっている。ボールはエイブラハムがキープしており、守備者はダビド・ルイスとGKしかいない。つまり、DOGSOをすべて満たしていた。

 ジョルジーニョがPKを決めてチェルシーが先制。数的優位と先制点という、とてつもなく大きなアドバンテージを、前半のうちに手にした。

波乱が待っていた後半

 1人少なくなったアーセナルはジャカとメスト・エジルを1列ずつ下げ、4-4-1へとシステムを変更した。その後はチェルシーが敵陣でプレーする時間が長くなったが、数的不利のアーセナルもコンパクトな陣形を保って守る。1-0のまま前半を終えた。

 63分にスコアを動かしたのはアーセナル。相手のCKをムスタフィがヘディングで跳ね返すと、これを自陣で拾ったマルチネッリがドリブルで前進。すると、センターサークル付近で対峙したカンテが転倒してしまう。最後はケパとの1対1になったが、マルチネッリが冷静にシュートコースを見極めてゴールネットを揺らした。

 追いつかれたチェルシーは直後にコバチッチとカンテを立て続けに下げ、ロス・バークリーとメイソン・マウントを投入。さらに79分にはウィリアンを下げてミチ・バチュアイを入れた。

 攻勢を強めるチェルシーが勝ち越しに成功する。84分にショートCKからハドソン=オドイが低い弾道のクロスを入れると、ゴール前でアスピリクエタが右足で合わせる。頼れるキャプテンが値千金のゴールを決めた。

 しかし、このままでは終わらないのがダービー。ホームチームの勝ち越し弾に興奮冷めやらぬ87分、右サイドバックのベジェリンがカットインから左足を振り抜く。シュートはファーサイドのゴールネットを揺らし、アーセナルは試合を再び振り出しに戻した。

チェルシーのミス

 中途半端なチェルシーの対応が引き起こした失点と言っていいだろう。勝ち越しゴールを奪う直前のCKを獲得したプレーで、ゴールライン際のボールを競ったエイブラハムは勢い余って電光掲示板に脚を強打した。

 直後のゴールシーンでも痛がる様子を見せ、ゴール後にはピッチに倒れ込んでいる。しかし、交代枠を既に使い切っていたので下げられず。アーセナルボールで試合が再開されると、再びエイブラハムはピッチに倒れたが、試合は続行される。エイブラハムは何とか立ち上がり、足を引きずりながらプレーを続けた。

 失点シーンではエメルソンがベジェリンに対峙した。エイブラハムが足を引きずりながらヘルプに入るが、ベジェリンは足が動かないエイブラハムの方にカットインして左足を振り抜く。ジョルジーニョが寄せるが間に合わなかった。

 バチュアイを投入したチェルシーは4-4-2の布陣に変更している。数的優位なので4-4-1でも十分守れるし、必要であればフレッシュなバチュアイが中盤に加わればよかった。実際にゴールシーンでは8対5とディフェンスの数も足りていた。

 ボールを持ったときに一旦プレーを切っていれば、対応を整理できたかもしれない。しかし、エメルソンのクリアは相手に渡しただけ。エイブラハムは責任を感じてプレーを続けたのかもしれないが、プレーを続ける以上はああいった対応は許されない。若さが出たと言えばそれまでだが、チームとしても中途半端な対応だった。

 試合は2-2の引き分けに終わり、ライバルクラブは勝ち点を分け合った。アーセナルは60分以上を10人で戦ったが、勝ち点を奪取することに成功した。一方のチェルシーは勝ち点2を落としたと言えるだろう。スコアが動いた終盤に試合を落ち着かせることができなかった。

(文:加藤健一)

【了】

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