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ロナウジーニョの超絶プレーが話題再燃。その脚はどうなっているの!? 最強ミランDFを翻弄

text by 内藤秀明 photo by Getty Images

ロナウジーニョ
【写真:Getty Images】

 多くの反響を呼んだ動画がある。UEFAチャンピオンズリーグ公式が投稿した“永遠のファンタジスタ”ロナウジーニョのプレー動画だ。この投稿を機に多くのサッカーファンから遊び心に溢れたブラジル人を懐かしむ声が上がっている。

 動画には05/06シーズンのCL準決勝ファーストレグ・ミラン対バルセロナの一戦が収められている。優勝候補にも挙がっていたホームのミランは、英雄パオロ・マルディーニ率いる守備陣とカカやアンドリー・シェフチェンコなどの攻撃陣を擁し優勝候補に挙がっていた。

 しかし試合の主役になったのはアウェイ・バルセロナの10番ロナウジーニョだった。ブラジル代表でも10番を背負う彼の対峙相手は、マルディーニの他にもイタリア代表のMFジェンナーロ・ガットゥーゾやDFアレッサンドロ・ネスタなど実力者揃いだ。しかしロナウジーニョは全く苦にせず、逆にそれを楽しむかの様なプレーを披露した。

 シザースを駆使した高速ドリブル、トラップで相手の頭上にボールを浮かせて相手を抜き去る遊び心、空中のボールをシャペウとヒールキックを組み合わせキープする技術の高さ…この試合のロナウジーニョはまさに“ファンタジスタ”だった。魔術師の躍動に後押しされたバルセロナはアウェイでの決戦を1-0でものにしている。

 現代のサッカーは非常に守備での高い強度を要求される傾向がある。昨年末に世界王者にも輝いたリバプールは、全ての選手が足を止めることなく走り続け相手に自由を与えないことで今季のプレミアリーグでも首位を独走している。稀代の名将と称されるジョゼップ・グアルディオラも戦術のベースにあるのは走力を活かした守備戦術だ。強豪クラブには攻守に貢献する走力と激しさが求められる時代になったのだ。

 このような時代の中で珍しくなったのが“古き良きファンタジスタ”の存在だ。守備での貢献は低いかもしれないが、ひとたびボールを持てば持ち前のテクニックの創造性で誰もが思いつかなかったプレーを披露する。もちろんその特性を持つ選手はいるが、彼らにも守備での奔走が求められる時代となり、かつて時代を彩った10番タイプは姿を消しつつある。

 夜遊び癖などからコンディションの維持に苦労することも多かったロナウジーニョだが、調子がいい時の彼を止められるものはいなかった。今では珍しくなった“真のファンタジスタ”はいつの時代でも多くのファンの記憶に残り続けるだろう。

(文:内藤秀明)

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