中島翔哉所属のポルト、EL敗退の危機? 現状を悲観するべからず。逆転の記憶が後押しに【欧州EL】

ヨーロッパリーグ(EL)のラウンド32が現地20日に行われ、レバークーゼンがポルトとの1stレグを2-1で制した。しかし、敗れたポルトは現状を悲観していない。逆転突破でのラウンド16進出には、ホームに戻る2ndレグでの中島翔哉らアタッカー陣の奮起が必要だ。(文:舩木渉)

2020年02月21日(Fri)11時55分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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VARは優秀だった

ポルト
【写真:Getty Images】

 優秀なVARが試合の結果をより妥当なものにしたと言ったところだろうか。現地20日に行われたヨーロッパリーグ(EL)ラウンド32の1stレグで、レバークーゼンがポルトに2-1の勝利を収めた。

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 序盤からレバークーゼンのペースで、終わってみればボール支配率はレバークーゼンが66%だったのに対し、ポルトは34%。シュート数でも19:8でレバークーゼンが上回り、2つのゴールを奪ってホームでの1stレグを制した。

 ただ、2ゴールともVARに助けられた感はある。29分にFWルーカス・アラリオが決めたゴールは、DFラース・ベンダーからのクロスをMFケレム・デミルバイが頭で逸らした瞬間に、スコアラーがオフサイドポジションにいたと判定された。それもVARによるチェックが入っての判定だったが、さらに見直されて最終的にはゴールが認められることになった。

 57分にMFカイ・ハフェルツが決めたPKも、蹴り直しになっていなければポルトのGKアグスティン・マルチェシンにあっさり止められた事実しか残らなかったはずだ。

 ゴールマウスに立ったアルゼンチン代表MFは、ハフェルツが左足を振りかぶった瞬間、一度右側に倒れるようなモーションを見せて自分の左側に蹴るよう誘った。その結果、ドイツの若き才能は焦ったのか力のないシュートをマルチェシンの左側に蹴ってしまった。駆け引きに負けたのである。

 しかし、この場面でVARが介入すると、ハフェルツが蹴る前にマルチェシンの両足がゴールラインよりも前に出ていたことが判明したようだ。主審は猛抗議を受けながらも蹴り直しを命じ、ハフェルツに同じ手は通用しなかった。2度目はGKのジャンプと逆方向を見極め、ゴール右隅にボールが収まった。

 こうしてVARが絡んだ2つのゴールが証明したのは、レバークーゼンとポルトの現時点での力の差だった。もし2ゴールとも認められなかったら見えづらくなっていたであろう差が、スコアの差になって現れただけだ。

ポルトはなぜELが苦手なのか

 ポルトも手を替え品を替え、なんとか押し返そうと試みていた。序盤はFWムサ・マレガとFWチキーニョ・ソアレスを2トップに据えた4-4-2だったが、途中でマレガを右サイドに回してMFヘスス・コロナを右からトップ下に移す4-2-3-1へ布陣を変更。MF中島翔哉とFWゼ・ルイスの投入は1点返すことにつながったが、試合の流れを大きく変えるには至らなかった。

 グループリーグでもそうだったが、ポルトは欧州カップ戦の、特にアウェイゲームを苦手としている。大きな理由として考えられるのは2つ。ともに関連しているが、ポルトガル国内には自分たちに真っ向勝負を挑んでくるチームが少ないこと、さらにポゼッションサッカーに対する耐性の低さも挙げられる。

 ポルトは国内でベンフィカやスポルティングCPと並ぶ3強クラブの一角であり、他は基本的に「格下」と言われる実力で劣る相手しかいない。そうなるとリーグ戦やカップ戦のほとんどの試合で、守備的に引いた相手チームを強引に力技で崩していくような展開になりがちだ。

 一方、欧州カップ戦になると日頃の国内クラブとは違いポルトに対して「苦手意識」「劣等感」がない相手ばかりになる。特にアウェイでは、より自信を持って向かってくるだろう。そうなった時に相手にボールを握られると、慣れない守備の時間が増え、弱点が晒されてしまう。国内リーグなどで勝っていくためにどうしても攻撃的な選手の多い構成になっているポルトは、特にサイドの守備に穴がある。

 国内リーグなら両サイドバックが常に高いポジションを取り続けていても問題ないが、欧州カップ戦でそうはいかない。ポルトの攻撃はサイドバックの働きが生命線であり、守備ではサイドバックが死線になりうる。そのリスクをどこまで許容するか、2ndレグに向けて改めてチームのバランスを見直す必要があるだろう。

ポルトを後押しする逆転の経験

中島翔哉
【写真:Getty Images】

 レバークーゼンに敗れた後、ポルトを率いるセルジオ・コンセイソン監督は「後半はより長い時間ボールを持つことができたが、ビッグチャンスはほとんどなかった。一方で前半はよく組織されていたが、ボールを持つ時間が足りなかった」と中途半端な試合運びを悔やんだ。

 確かに後半はボールを持てる時間もチャンスも前半に比べて増えたが、主導権を握ることは最後までできなかった。61分から途中出場した中島も、他のほとんどの選手が自陣の低い位置で守備に追われる展開の中、効果的な形でボールを受けて前に運べるようなシーンは少なく、持ち味を生かしきれなかった。

 右サイドで相手選手に囲まれながらドリブルを仕掛けてファウルを誘発した72分のシーンが、中島にとってのレバークーゼン戦のハイライトだろうか。このファウルで得たフリーキックから、ルイス・ディアスのゴールが生まれた。

 実はアウェイゴールを1つ奪っての1-2なら、敗れてはいてもそんなに悪いスコアではない。むしろかなり有利とも言える。ホームで迎える2ndレグでレバークーゼンを無得点に抑え、1-0で勝利すれば2戦合計スコアは2-2となり、アウェイゴール数の差でポルトがラウンド16に勝ち進むことができる。必要以上に現状を悲観する必要はない。

 昨季のチャンピオンズリーグ(CL)。ポルトはラウンド16でローマと対戦した。2戦合計スコア4-3で準々決勝に駒を進めるのだが、この時もアウェイでの1stレグは1-2で敗れていた。ホームに帰還しての2ndレグは90分を終えて2戦合計スコア3-3までもつれ、延長戦の末にDFアレックス・テレスのゴールで逃げ切ったのである。

 コンセイソン監督は、1年前の逆転劇を引き合いに出して2ndレグへの希望をつないだ。

「全てがオープンだ。私は昨季のCLのラウンド16で、ローマとの1stレグに1-2で敗れたことを覚えている。ホームでの2ndレグも難しい試合になるだろう。だが、我々はCLからこぼれ落ちてきたチーム(レバークーゼン)との戦いを通過するために、全てを捧げるつもりだ」

 より攻撃的に振る舞えるホームでは、アタッカー陣の奮起も求められる。1stレグでレバークーゼンが教授したホームアドバンテージも、今度はポルトのもの。ベンフィカを1ポイント差で追いかけるリーグ戦の勢いをELにも持ち込みたい。そして負傷から復調しつつある中島にも、ポルトを勝利に導く活躍が期待されるところだ。

(文:舩木渉)

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【了】

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