久保建英はマジョルカの攻撃を支配した。高い技術が凝縮された3得点、武者修行する3人が残留のキーマンに

リーガエスパニョーラ第25節、レアル・ベティス対マジョルカが現地時間21日に行われ、3-3で引き分けた。この試合で6試合ぶりの先発出場となった久保建英は3得点すべてに絡み、1得点1アシストとチームをけん引した。残留を目指すチームの中で久保が大きな役割を担うことが、この試合で証明された。(文:加藤健一)

2020年02月22日(Sat)10時58分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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2度のリードは守り切れなったが

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【写真:Getty Images】

 久保建英は6試合ぶりの先発起用に満点回答した。カットインからのミドルシュートが先制点に繋がり、2点目をアシスト。1点ビハインドの70分には右足のシュートから同点弾が生まれた。アウェイで勝利を掴むことはできなかったが、貴重な勝ち点1をゲットしている。

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 マジョルカはアウェイを苦手としている。今季はこの試合までに11試合を消化し、勝ち点を挙げたのは引き分けたセルタ戦のみ。勝利したのはすべてホームゲームという極端な成績を残っている。12位に沈むベティスも同様にホームに強く、今季は7勝のうち6つをホームで挙げている。ベティスのホーム、ベニート・ビジャマリンで行われたこの試合で、ベティス有利と予想するのは難しくなかった。

 リーグワースト2位と3位の失点数を喫する両チームは、この試合でも失点を重ねていった。マジョルカは2度のリードを奪うが、ともに直後の失点で追いつかれた。ベティスは後半早々にホアキン・サンチェスの逆転ゴールでリードを奪うが、70分に久保建英のゴールでマジョルカが引き分けに持ち込んだ。

 今季12試合目の先発となった久保建英は3得点すべてに絡み、1得点1アシストと結果を残してチームをけん引した。得点は11月10日のビジャレアル戦、アシストは9月22日のヘタフェ戦以来で、ともに2つ目となった。

目を見張る判断力

 4-2-3-1の右サイドハーフに入った久保建英は、チーム最多の3本のシュートを放ち、2本のラストパスを送っている。チーム最多の5度のファールを受けていることから、相手の脅威になっていたことが計り知れるだろう。18歳の日本人MFがマジョルカの攻撃を支配していたと言っても過言ではないだろう。

 16分の先制点は久保のシュートから生まれる。右サイドからカットインしてシュートを放つが、相手のブロックに阻まれた。しかし、クチョ・エルナンデスがダイレクトでこぼれ球を狙うと、このシュートがゴールネットを揺らした。

 久保がボールを持ったとき、右サイドバックのアレハンドロ・ポソが久保の外側を追い越していった。すると久保は、対峙する相手DFとヘルプに入った中盤の選手がスイッチした瞬間を見逃さずにカットインしている。タッチが大きくなって相手にブロックされたが、その瞬時の判断には目を見張った。

 直後にPKから同点に追いつかれたが、この日のマジョルカは2点目、3点目を狙っていけるだけの攻撃力を備えていた。センターバックのアントニオ・ライージョが、相手DFラインの裏に抜けたクチョにロングパスを通した。

 久保ははじめ、左サイドのペナルティーラインの角付近でボールを欲していた。しかし、そこにはウィリアム・カルバーリョがいたために方針を変更。クチョの裏を追い越すことでフリーになっている。

 カットインしたクチョは外側を追い越す久保にヒールパスを送る。縦へ抜け出した久保はゴール前に折り返すと、中央で待つブディミルがトラップから右足を振り抜いてゴールを決めた。久保が見せたとっさの判断が奏功したゴールだった。

チームを救った久保建英の右足

 再びリードを奪われたベティスだったが、この試合2つ目のPKを獲得する。負傷したレオナルド・コウトリスに代わって入ったフラン・ガメスの腕に、フェキルの蹴ったボールが当たって得たPKを、フェキル自らが沈めて同点へと追いついた。

 48分にベティスがこの試合で始めてリードを奪う。ラ・リーガ4位に並ぶ通算542試合出場となったホアキンが、通算50得点を達成した。

 1点を追うマジョルカは68分に、イドリス・ババを下げてラーゴ・ジュニオルを投入する。クチョとブディミルが最前線に並び、ダニ・ロドリゲスが中盤の底に落ちる4-4-2へと布陣を変更。結果的にこれが奏功する結果となった。

 久保の12試合ぶりのゴールがチームを逆転負けのピンチから救った。敵陣で奪ったボールを拾った久保はマルク・バルトラを交わして、フェイントから機を窺う。ブディミルへのパスも出せる場面で、対峙したアレックス・モレーノの重心の逆をとるかのように選択したのは右足のシュートだった。モレーノの股を抜けたシュートは、相手GKの手に当たりながらもゴールへと吸い込まれた。

 再びリードを奪おうとする終盤のベティスの攻撃を凌いだマジョルカは、敵地で貴重な勝ち点1を得た。1試合消化が多いものの、残留圏内の17位に浮上してセルタにプレッシャーをかけている。

武者修行中の3人が残留のキーマンに

 守備に難があるポソは、対面したホアキンを中心にベティスに狙われていた。久保が左に流れることで、マジョルカのセンターバックがサイドにつり出されるシーンも何度か見られた。守備におけるメカニズムは修正の余地があるだろう。

 ポソは冬にセビージャから加入した20歳のローン選手で、一列前のポジションもできるが、マジョルカでは攻撃的な右サイドバックとしてプレーしている。守備では狙い撃ちされた一方で、左利きの久保との縦関係は攻撃面で良い連係を見せていた。

 右サイドで久保が持てば、ポソは幾度となくタッチライン際を追い越していく。相手がポソに気を取られれば、その隙を突いて久保はカットインからゴールを狙っていき、ポソがフリーになれば広い視野と状況判断力を兼ね備える久保がスルーパスを送る。右サイドの2対2は数的には同数だが、質的な有利を生み出していた。

 この日の久保は右サイドだけでなく、縦横無尽にピッチを動いた。ときには左サイドにも顔を出してチャンスメイクに関わる。アシストを記録した2点目のシーンでも、左サイドでクチョを追い越す動きが、相手の混乱を生み出していた。

 昨夏にワトフォードからレンタルで加入したクチョは、昨年のFIFA U-20ワールドカップで負った怪我のために長期離脱していた。12月に移籍後初出場を飾ると徐々にパフォーマンスを上げていき、前節ではチームを4試合ぶりの勝利に導く決勝弾を決めた。

 武者修行中の3人がマジョルカ残留のキーマンになるかもしれない。この試合で久保は、20歳の両者の特徴を活かしながら自身も結果を残した。鋭い攻め上がりを見せる攻撃的サイドバックと、強烈なシュートを備えるアタッカーを活かすのが18歳の久保建英であることは、この試合を通じて証明されたと言えるだろう。

(文:加藤健一)

【了】

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