下馬評を覆した2002年ドイツ代表。孤軍奮闘した「巨人」GKオリバー・カーン

2002年日韓ワールドカップ。ブラジルの優勝で幕を閉じたこの大会で、下馬評を覆して決勝に進出したのがドイツ代表だ。その中心となったのがGKオリバー・カーン。各国のアタッカーの前に巨人のように立ちはだかり、孤軍奮闘したのであった。(文:本田千尋)[sponsored content]

2020年04月01日(Wed)10時00分配信

text by 本田千尋 photo Getty Images
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下馬評は高くなかった2002年日韓W杯のドイツ代表

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【写真:Getty Images】

 史上初めてアジアで開催されたフットボールの祭典は、オリバー・カーンの大会となるはずだった。しかし、1つのミスが、全てを覆してしまう。

 2002年に日本と韓国の共催で行われたワールドカップで、ドイツ代表は、“大方の予想に反して”決勝に進出する。

2000年にオランダとベルギーで共催された欧州選手権で、ドイツ代表は惨敗。グループリーグで1勝も挙げることができず、最下位で敗退してしまう。ここから改革が始まるのだが、その成果が実を結ぶのは14年後のブラジル。当時のドイツ・サッカーは、夜明けの光も見えない暗黒期にあったのである。

 よって2002年のドイツ代表も、決して下馬評は高くなかった。クラブレベルでは、01年にバイエルン・ミュンヘンがチャンピオンズ・リーグで優勝し、02年にバイヤー・レバークーゼンが同大会で決勝に進出するなど結果を残していた。しかし、その一方で代表チームは日韓ワールドカップの予選で大苦戦。プレーオフに回った挙句、ウクライナを下して辛くも本大会進出を決めている。

 本大会前には負傷者が相次ぐ。ルディ・フェラー監督は満足の行くメンバーを招集できなかった。イェンス・ノボトニー、メーメット・ショルは怪我を理由に辞退。さらにセバスティアン・ダイスラーは、大会直前に組まれたテストマッチのオーストリア戦で左ひざのじん帯を断裂。“100年に1人の天才”も離脱することになってしまう。

 こうした“事情”が重なり、02年当時、日韓大会の優勝候補にドイツ代表を推す声は皆無だったと言って過言ではない。東の横綱はジネディーヌ・ジダンを擁するフランス代表であり、西の横綱はマルセロ・ビエルサ監督が率いるアルゼンチン代表だったのだ。

 しかし本大会が始まると、“大方の予想に反して”、ドイツ代表は決勝戦まで辿り着く。その中心となったのが、レバークーゼンの“小皇帝”ことミヒャエル・バラックと、そしてバイエルンの絶対的守護神、“タイタン”ことオリバー・カーンである。

並みいるアタッカーの前に立ちはだかったGKカーン

 特にキャプテンマークを巻いたカーンのパフォーマンスは目覚ましかった。日本と韓国を往復した決勝までの6試合で、許した得点はたったの1。カシマサッカースタジアムでアイルランドと戦ったグループリーグの第2戦で、後半のアディショナルタイムにロビー・キーンに奪われた1得点のみだ。

 その唯一失点したアイルランド戦でも、ダミアン・ダフやキーンを相手にビッグセーブを連発。決勝が行われる横浜国際総合競技場に至る道のりの中で、完全にゾーンに入ったようだった。

 カメルーン代表サロモン・オレンベ、パラグアイ代表ホルヘ・カンポス、アメリカ代表ランドン・ドノバン、韓国代表イ・チョンス…並みいるアタッカーたちの前に、ことごとく立ちはだかった。

 1994年のアメリカ大会ではボド・イルクナー、98年のフランス大会ではアンドレアス・ケプケといった名手が立ちはだかり、それまでワールドカップで出番に恵まれなかったカーン。初めてとなる晴れの舞台に、期するものがあったであろうことは想像に難くない。

これだけカーンが活躍したということは、ドイツ代表の守備陣はお世辞にも堅守とは言い難かったということでもある。もちろん決勝トーナメントに入ってからはパラグアイ、アメリカ、韓国と相手に恵まれたところもあったが、やはりイカつい風貌の主将の奮戦無くして、ドイツ代表は決勝に進出することはできなかっただろう。

 そして迎えたファイナルの舞台――。これも神の配剤、なのだろうか。

 相変わらず不安定なドイツ代表の守備陣は、リバウド、ロナウド、ロナウジーニョの“3R”を擁するブラジル代表の猛攻を受けながらも、カーンを中心に耐え凌ぐ。アメリカ戦、韓国戦と2試合連続で決勝点を決めていたバラックは、累積警告によりピッチに立つことができなかった。攻撃の核を失ったドイツ代表が劣勢に立たされたのも無理はなかった。そして迎えた67分。カーンが、ミスを犯してしまう。

ブラジル戦で痛恨のミス。力尽きたタイタン

 リバウドの低い弾道のミドルシュートを、キャッチし損ねる。こぼれたボールをロナウドに難なく詰められて、ブラジル代表に先制点を与えてしまう。好セーブを見せてきた守護神の、今大会で唯一と言っていいミスだった。

 張り詰めてきた糸がほどけたようなドイツ代表は、さらに79分、ロナウドに追加点を奪われ、万事休す。準優勝は、下馬評を考えれば大健闘だったが、試合後のカーンに満足した様子はカケラもなかった。力尽きた“タイタン”は、しゃがみ込み、ポストに背を預け、ただ遠くを見つめた。

 たった1つのミスで、見せつけてきた圧巻のパフォーマンスの数々は、波打ち際の砂の城のように消え去ってしまったのだろうか。少なくとも、ポストに寄りかかる“タイタン”の頭の中では、そうだっただろう。

 だが、時が経てば、過ちの意味合いも変わってくる。決勝の舞台のミスで負けてしまったがゆえに、孤軍奮闘の伝説は色褪せることなく、その輝きは増すのである。

(文:本田千尋)

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【了】

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