マンU、屈辱的3失点完敗の原因は? 何もかもが中途半端に終わった、悪夢の90分間【FA杯】

FAカップ準決勝、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーが現地時間19日に行われ、1-3でチェルシーが勝利。アーセナルの待つ決勝へ駒を進めている。敗れたユナイテッドは疲労の影響を隠し切れず、良い所のないまま試合を終えた。オーレ・グンナー・スールシャール監督のプランは非常に中途半端だったと言わざるを得ない。(文:小澤祐作)

2020年07月20日(Mon)11時22分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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マンUの選手は疲弊も…

マンチェスター・ユナイテッド
マンUのチェルシー戦スターティングメンバー

 今のマンチェスター・ユナイテッドは強い。シーズン序盤はどうなることかと思ったが、気づけば来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を手中に収めつつある。チームが生まれ変わったのは、誰の目にも明らかだ。

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 ただ、そんなユナイテッドにも課題はある。スタメンの固定化だ。これまでにも散々言われてはきたが、この過密日程の中ほとんど…いや、まったくと言っていいほどメンバーをいじらないのは非常に大きなリスクを伴う。当然、選手の疲労は溜まりやすくなるし、疲労が蓄積すれば怪我にも繋がる恐れがある。プレミアリーグは残り2試合だが、今後もタフなゲームが続く中でどこまでプレー強度を保てるかは不透明だ。

 結果が出ている状況なので、スタメンの変更が難しいというのは理解できる。しかし、現地時間16日に行われたプレミアリーグ第36節のクリスタル・パレス戦を見ても、明らかに選手は疲弊していた。とくに、MFブルーノ・フェルナンデスやDFハリー・マグワイア、DFアーロン・ワン=ビサカは試合が進むにつれ、足がどんどん重くなっている印象を受けた。

 ユナイテッドの目標はあくまでCL出場権の獲得。集中すべきは当然ながらリーグ戦だ。そのため、現地時間19日に行われたFAカップ準決勝、チェルシー戦ではさすがにメンバーを落としてくるだろうと予想していた。しかし、その予想は見事に覆された。考え方が甘かったのである。

「今日の試合に勝つために(このメンバーを)選んだ。そして、水曜の試合に準備するために今日のメンバーにした」。

 チェルシー戦後のオーレ・グンナー・スールシャール監督のコメントだ。この言葉通り、ユナイテッドはB・フェルナンデスやマグワイア、ワン=ビサカ、DFヴィクトル・リンデロフ、FWマーカス・ラッシュフォード、GKダビド・デ・ヘアら固定スタメン組を半数起用。一人、二人は主力を入れてくるとは思ったが、まさかここまで起用してくるとは正直思わなかった。

 しかし、結果論にはなってしまうが、このスタメンを送り込んだことにより、ユナイテッドは非常に中途半端なゲーム内容を披露してしまうことになる。

元気のあるチェルシーを前に大苦戦

 3バックでこの試合に臨んだユナイテッドは、GKデ・ヘアも含めた11人全員でしっかりとボールを繋いできた。しかし、プレミアリーグ第36節のノリッジ戦から中4日と、ユナイテッドよりも元気のあるチェルシーに果敢に前からプレスを仕掛けられる。こうしてMFネマニャ・マティッチらボールの収め所を潰されたユナイテッドは攻撃のリズムが生まれず、立ち上がりから歯車を狂わされた。

 また、トップ下に入った攻撃の要であるB・フェルナンデスもチェルシーの強度の高いプレーを前に沈黙。MFマテオ・コバチッチらの激しいプレッシャーからファウルを受けることも多く、なかなか持ち味を発揮できなかった。

 ユナイテッドは守備時、DFアントニオ・リュディガーとDFクルト・ズマの並んだ相手の最終ラインにはある程度ボールを持たせる時間を与えたが、B・フェルナンデスを中盤底に入ったMFジョルジーニョのマークに付けることでそこからのビルドアップを阻止。サイドにボールを流させて的を絞らせた。

 しかし、下がってきたFWウィリアンやMFメイソン・マウント、あるいはタイミングよく顔を出したコバチッチらを捕まえきれず、そこで前を向かれて押し込まれることもあったのは事実で、全体的に連動した守備を見せていたかというとそうではない。DFセサル・アスピリクエタらサイドバックの選手が内側をドリブルした際には誰が出るのか迷い、結局はクロスに持ち込まれるシーンもあった。

 ボールを持っては奪われ、そこから捕まえきれずにチェルシーに押し込まれる…。前半からこの繰り返しだったユナイテッドは、実に30分まで1本もシュートを放つことができなかった。もっと言えば、そのファーストシュートはB・フェルナンデスによるフリーキック。流れの中から得点の匂いはほとんど感じられなかったのだ。

 そして、前半ATにはFWオリヴィエ・ジルーに先制ゴールを献上。良い所がまったくないまま、最悪の時間帯にゴールネットを揺らされた。結局、ユナイテッドは45分間で2本のみのシュートに終わり、0-1で後半へ向かうことになった。

ミス連発で大量3失点

マンチェスター・ユナイテッド
【写真:Getty Images】

 後半での逆転を目指したユナイテッドだったが、開始わずか1分でチェルシーに追加点を許した。相手のプレッシャーに耐え切れなかったDFブランドン・ウィリアムズが自陣中央へロングパス。それをマウントに拾われ、そのままゴールに結びつけられた。

 自陣中央へのパスをミス。最もやってはいけないプレーだ。また、マウントのシュートを弾けなかったデ・ヘアのプレーもいただけない。中途半端なアクションが重なっての、最悪な失点だったと言わざるを得ない。

 リードを広げられたユナイテッドは完全に戦意を削がれたのか、その後は不用意なミスを連発。単純なショートパスがズレる、ファーストコントロールが定まらない、といった場面が散見された。疲労の影響と言ってしまえばそれまでだが、集中力を欠いていたのはプレーからも明らかだった。

 スールシャール監督は早い時間にMFポール・ポグバやFWメイソン・グリーンウッドを入れたが、それも不発。チェルシーの相変わらず強度の高いプレーに手を焼き、攻守両面で後手に回っていた。

 そして74分には痛恨の3失点目。DFマルコス・アロンソにワン=ビサカが付いて行けず、クロスを上げられる。これがマグワイアの足に当たってゴールに吸い込まれた。シチュエーション的には1失点目と同じ。クロスに対し相手に先に身体を入れられ、守備対応を難しくされている。判断力が落ちていたと言わざるを得ない。

 ユナイテッドは終盤にB・フェルナンデスのPKで1点を返したものの、反撃はそこまで。1-3で敗れ、準決勝で姿を消すことになった。

 疲労の影響を隠し切れず、敗退。シュート数では相手を下回り、反対にボールロストの回数はチェルシーより多いなど、内容は決して褒められたものではない。B・フェルナンデスら主力を何人か起用して1-3の完敗は、非常に中途半端と言わざるを得ない。サポーターも納得しないだろう。

 もちろん、メンバーを大幅に入れ替えれば勝てたのか? というと決してそうではない。チェルシーも素晴らしかった。しかし、ヘロヘロな状態で集中力も欠き、無残な姿を晒すよりは、フレッシュな選手で潔く挑んだ方がまだ良かったのは確かだ。この試合は何も残らない。残ったのはまたもフル出場を果たしたB・フェルナンデスやマグワイアの更なる疲労の蓄積だけだ。

(文:小澤祐作)

【了】

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