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【欧州CL決勝プレビュー】PSG対バイエルンは撃ち合い上等? 英雄になるのはレバンドフスキかムバッペか

UEFAチャンピオンズリーグ決勝、パリ・サンジェルマン対バイエルン・ミュンヘンが現地時間23日に行われる。国内リーグでは直近8シーズンで7度の優勝を数えるPSGと、7連覇を果たしたバイエルン。フランスとドイツの絶対王者同士のファイナルはどのような試合になるのか。両チームの現状や決勝の展望を占う。

text by 編集部 photo by Getty Images

PSGはクラブ史上初の決勝進出

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【写真:Getty Images】

 パリ・サンジェルマン(PSG)は12/13シーズンから8季続けてUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に出場している。しかし、4季連続で準々決勝敗退、直近3シーズンはラウンド16で敗退となかなか勝ち進めなかった。敗れたのはすべてスペイン勢とイングランド勢で、バルセロナには計3度もやられている。

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 今季はグループステージでレアル・マドリードと対戦したが、1勝1分と勝ち越した。決勝トーナメントではドルトムント、アタランタ、ライプツィヒを撃破。4チーム中3チームがドイツ勢との対戦で、スペイン、イングランド勢と当たることなく決勝に駒を進めている。

 PSGはホーム&アウェイのレギュレーションが苦手だった。直近7シーズンでは、敗退したラウンドの1stレグで3勝2分2敗の星を残していながら、2ndレグは1分6敗と勝つことができなかった。

 16/17シーズンはバルセロナに4-0で勝利したが、2ndレグで1-6と大敗。昨季もマンチェスター・ユナイテッドに2-0と勝利しながら、ホームで行われた2ndレグでは1-3で敗れ、アウェイゴール差で敗退している。PSGにとって鬼門の2ndレグがレギュレーションの変更によりなくなったことで、戦いやすくなったのかもしれない。

 今季で印象的だったのは、アタランタ戦の逆転劇だろう。1点ビハインドのまま後半アディショナルタイムに入ろうかというところで、マルキーニョスが起死回生の同点弾を決めて試合を振り出しに。その2分半後には途中出場のマキシム・チュポ=モティングが劇的な逆転弾でチームを勝利へと導いた。

 振り返れば、グループステージ第5節のレアル戦でも79分にビハインドを2点に広げられたところから、立て続けに2つのゴールを奪って追いついている。バイエルンとしてはたとえリードを奪ったとしても、試合終了の長い笛を聴くまで一瞬たりとも油断はできない。

強力すぎるバイエルンの攻撃

 今季のバイエルンは序盤から不安定な戦いが続いた。フランクフルトに1-5と大敗したことで11月にニコ・コバチ監督が解任。監督に昇格したハンス=ディーター・フリックはそこからチームを立て直した。公式戦30戦無敗、20連勝という圧倒的な成績で、ブンデスリーガ8連覇、DFBポカール(ドイツ杯)連覇を成し遂げ、CLでも決勝に駒を進めている。

 バイエルンが決勝に駒を進めたのは7シーズンぶりで、その12/13シーズンは同国のドルトムントを2-1で破っている。現在のメンバーの中で、この試合に出場していたのは6人いるが、ロベルト・レバンドフスキはまだドルトムントの選手だった。

 決勝から遠ざかった直近の6シーズンで、バイエルンは準決勝を4度戦っているが、決勝進出を阻んだのはいずれもスペイン勢だった。PSGとは対照的に2ndレグでは2勝1分1敗と健闘したが、全敗だった1stレグの結果が大きく響いた。

 今大会では攻撃陣が火を噴いている。10試合すべてで複数得点を挙げ、42得点をマーク。決勝トーナメントの4試合はすべて3点差以上をつけた。

 バイエルンはボール保持とハイプレッシャーを基調にしている。レバンドフスキとトーマス・ミュラーが前線から圧力をかけ続け、流動的にポジションチェンジを繰り返しながらゴールに迫る。トッテナムは2試合で10失点、チェルシーは2試合で7失点、バルセロナは8失点を喫した。バイエルンの攻撃陣は完膚なきまでに打ちのめしている。

 前線の4人は強力で、レバンドフスキは大会最多の15ゴールを決めている。準々決勝ではミュラー、準決勝ではニャブリがマン・オブ・ザ・マッチに輝き、キングスレイ・コマンの代わりに左サイドでプレーするイバン・ペリシッチも好調だ。

バイエルンの隙は…

 バイエルンに隙があるとすれば、DFラインだろうか。バルセロナ戦で喫した2失点はともにハイラインの裏を突かれている。バルセロナが自陣からロングパスを右サイドバックのキミッヒの裏に通したところから生まれた。両サイドバックが積極的に攻め上がる攻撃力は強力だが、ムバッペら強力なPSGの攻撃陣にDFラインを突破されないような対策が必要になるだろう。

 CL再開前に負傷した右サイドバックのバンジャマン・パバールはリヨン戦で復帰し、センターバックのニクラス・ズーレも途中出場で実践感覚を取り戻しつつある。CLでは右サイドバックにヨシュア・キミッヒが入り、チアゴ・アルカンタラとレオン・ゴレツカが中盤に入る形が続いているが、決勝では最終ラインにズーレとパバールを起用する布陣も考えられる。

 対するPSGも、この試合を前にベストメンバーが揃いつつある。先月下旬のクープ・ドゥ・フランス(フランス杯)決勝でタックルを受けて右足首を負傷したキリアン・ムバッペはアタランタ戦で復帰し、ライプツィヒ戦では先発で起用された。今月上旬のトレーニング中に右足のふくらはぎを痛めたマルコ・ヴェラッティもライプツィヒ戦で復帰を果たしている。

 CL再開後はアンヘル・ディ・マリアの出場停止やムバッペの負傷もあり、トーマス・トゥヘル監督は4-3-3の布陣を戦っている。しかし、得点が必要な場面ではアンヘル・ディ・マリア、ネイマール、ムバッペ、マウロ・イカルディの「ファンタスティック4」を同時に起用する4-4-2に戻す可能性も残されている。

 主力の復帰に加えて、チュポ=モティングがアタランタ戦で殊勲の活躍を見せるなど、PSGには追い風が吹いている。ここまで圧倒的な強さで強敵を倒してきたバイエルンを相手にどのような戦いを挑むかに注目が集まる。

【了】

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