CL決勝、ネイマールはなぜPSGを優勝に導けなかったのか? 成長の跡を見せたが、足りなかったのは…【欧州CL】

UEFAチャンピオンズリーグ決勝、パリ・サンジェルマン対バイエルン・ミュンヘンが現地時間23日に行われ、0-1で勝利したバイエルンが7年ぶりの欧州制覇を成し遂げた。ネイマールはチームで2番目に多い10kmの走行距離を記録したが、PSGを勝利に導くことができなかった。(文:加藤健一)

2020年08月24日(Mon)11時30分配信

text by 編集部 photo Getty Images
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ハイレベルなCL決勝に

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【写真:Getty Images】

「技術的にはネイマールが世界一の選手だ。私はメッシのファンだが、それでも技術レベルでは彼を超えられない」

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 元ブラジル代表のカフーはネイマールをこう評している。

 アタランタ戦では90分にマルキーニョスの同点弾をアシストし、ムバッペへのスルーパスで逆転ゴールをおぜん立てした。ライプツィヒ戦でもディ・マリアのゴールをアシストしている。ネイマールの存在なくしてPSGの決勝進出はなかっただろう。しかし、世界一の選手はパリ・サンジェルマン(PSG)をUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝に導くことはできなかった。

 トーマス・トゥヘル監督は怪我から復帰したケイラー・ナバスを除いて、準決勝と同じ10人を決勝のピッチに送り込んでいる。ネイマールは準々決勝、準決勝に続いて3トップの中央をスタートポジションにした。

 PSGとバイエルン・ミュンヘンに実力の差はほとんどなく、トランジションでのハードなプレッシングが強調された試合だった。ボールを保持するバイエルンはハイラインを敷き、失えば即座に回収して2次攻撃を開始する。PSGは直近3試合で15得点を奪っているバイエルンの攻撃を4-5-1のゾーンプレスで吸収しつつ、アンヘル・ディ・マリア、ネイマール、キリアン・ムバッペの3トップを中心にカウンターを仕掛けた。

 PSGの狙いは明確で、ボールを奪ったらキミッヒの裏という共通認識があった。ライプツィヒやバルセロナも狙っていたように、ハイラインの裏にボールを通してフィニッシュにつなげる。PSGは前半にそこからいくつかフィニッシュへとつなげ、18分にはムバッペのスルーパスにネイマールが抜け出したが、シュートはGKマヌエル・ノイアーに跳ね返された。

バイエルンはアクシデントで好転

 25分、バイエルンにアクシデントが襲った。センターバックのジェローム・ボアテングが負傷。ボアテングはリヨン戦でも負傷してハーフタイムで退いており、この試合に強行出場していた。

 しかし、おそらくこの交代はバイエルンも想定内で、すぐさまニクラス・ズーレをピッチに入れている。すると、結果的にPSGの狙いが封じられることになる。スピードに優れるズーレが入ったことで、カウンターからシュートに持ち込まれる場面は激減した。

 サッカーはミスをするスポーツだ。ハイレベルだったこの試合でさえ、両チームともに中盤で不用意にボールを奪われ、ノーマークのシュートを外していた。

 ムバッペが決定機をものにしていれば、ディ・マリアの右足のシュートがもう少しうまければPSGは勝っていたかもしれない。レバンドフスキがゴールポストに当ててなければ、バイエルンはこれまでの試合のように大差をつけていたかもしれない。両チームともに味方のミスを全員でカバーし、水際で食い止めていたが、結果的にこの試合はたった1度、ゴールネットを揺らしたバイエルンが勝利した。

 この試合のネイマールのパフォーマンスを批判することはできないだろう。誰よりも多くのドリブルを成功させ、誰よりも多くファウルをもらった。しかし、絞って構えるバイエルンの4バックの壁は分厚く、ノイアーが最後の砦としてゴール前に立ちはだかった。

チームを勝たせるエースへ

 トップ・オブ・トップの選手であっても、CL決勝を戦うチャンスはそう多くない。バルセロナとPSGで7シーズン続けてこの大会に参加しているネイマールですら、決勝は優勝した14/15シーズン以来の2度目だった。

 ブラジル代表ではタイトルと無縁だった。自国開催のワールドカップの準々決勝で負傷し、1-7と大敗したドイツ戦のピッチに立つことができなかった。15年のコパ・アメリカ(南米選手権)では相手選手にボールを蹴りつけて出場停止、ブラジル代表が優勝した19年の同大会では、直前の負傷で無念の欠場となっている。

 ビッグイヤーを獲得した14/15シーズンはルイス・エンリケがバルセロナを率いており、ルイス・スアレス、メッシ、ネイマールの3トップは猛威を振るっていた。ネイマールは準々決勝以降の5試合で7得点を挙げ、メッシやクリスティアーノ・ロナウドともに10ゴールで得点王に輝いている。

 オーバーエイジ枠で出場した16年のリオデジャネイロ五輪では、U-23ブラジル代表を優勝に導いている。準々決勝以降の3試合は4得点3アシストの大活躍だった。主軸が活躍しなければカップ戦を勝ち抜けないことは、ネイマールが23歳や24歳のときに証明していた。

 ライプツィヒに3-0で勝利した直後は、チームの誰よりも勝利を喜んでいた。今大会では誰よりも走り、決勝でも最後までゴールを狙ったが、少しばかり運が欠けていた。敗北が決した後、ネイマールは人目をはばからず涙を流している。タイトルへはあと一歩届かなかったが、エースとしての責任感が行動に表れていたように見えた。

 決勝で敗れたネイマールは悔しさを知ったことで、世界一の技術を持つ選手からチームを勝たせるエースに成長していくのだろうか。28歳になったネイマールは今大会を通じて大人への階段を上ったのかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

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