いま、エバートンが最強。圧巻のハメス・ロドリゲスと驚異的勢いをけん引する若きエース

プレミアリーグ第4節が現地3日に行われ、エバートンはホームにブライトン&ホーブ・アルビオンを迎えて4-2の快勝を収めた。これで開幕からリーグ戦は無傷の4連勝となり、暫定ながら首位に浮上した。ハメス・ロドリゲスは変わらず圧倒的なパフォーマンスを披露し2得点1アシスト。さらに公式戦6戦9発と驚異のペースでゴールを量産する23歳の若きエースも、絶好調のチームを引っ張っている。(文:舩木渉)

2020年10月04日(Sun)7時40分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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前線のタレントが守護神のミスを帳消しに

ハメス・ロドリゲス
【写真:Getty Images】

 GKの呆れるような凡ミスが試合を台無しにするところだった。

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 ブライトン&ホーブ・アルビオンから1点リードを奪っていた41分、エバートンのGKジョーダン・ピックフォードがまたしてもやらかした。地面にバウンドしてそれほど勢いのなかったシュートを取り損ね、こぼれ球をニール・モペイにあっさり押し込まれてしまった。

 しかし、前半アディショナルタイムに味方がミスを帳消しにする勝ち越しゴールを奪い、終わってみれば4-2で勝利。エバートンは現地3日開催のプレミアリーグ第4節で開幕4連勝を飾り、暫定ながら首位に立っている。

 カルロ・アンチェロッティ監督率いる“トフィーズ”は、史上最高のロケットスタートでクラブ史に新たな1ページを刻んだ。リーグ戦での開幕4連勝は51年ぶり。シーズン開幕からの公式戦7連勝は歴史上2度目だが、前回は120年以上前の1894/95シーズンなので、当時を知る存命の人物はいまい。

 ピックフォードも仲間たちに致命傷になりかけたミスを救われ、ホッと胸をなで下ろしているに違いない。2017/18シーズンにエバートンでデビューして以来、プレミアリーグで他のどのGKよりも多い「11」もの失点に直結するミスを犯してきた守護神の惨憺たるパフォーマンスを帳消しにするほど、周りのチームメイトたちがまばゆいばかりの輝きを放っている。

 今季の驚異的な勢いをけん引する立役者は2人だ。

 まずはハメス・ロドリゲスの名前を挙げないわけにはいかない。ブライトン戦では前半アディショナルタイムの47分にコーナーキックからジェリー・ミナの勝ち越しゴールをアシスト。後半に入って52分には、アレックス・イウォビの左からの折り返しに逆サイドから詰めて自らゴールネットを揺らした。

 そして70分、今度はアブドゥライェ・ドゥクレの折り返しに合わせて加入後初の1試合2得点を達成。リードを3点に広げるダメ押し弾で、エバートンの勝利をほぼ確実なものにした。

 ハメスはイングランド初挑戦ながら、リーグ戦ですでに3得点2アシスト、カラバオカップ(リーグカップ)でも1アシストを記録している。6つのゴールに直接関与しており、これは3つのゴールを演出した昨季レアル・マドリードでの数字の2倍にあたる。

快進撃の立役者はハメスだけじゃない

ドミニク・キャルバート=ルーウィン
【写真:Getty Images】

 ただ、マドリーで完全に居場所を失っていた男の華麗な復活劇に驚きはないとアンチェロッティ監督は英『BBC』の「マッチ・オブ・ザ・デイ」に語った。

「(彼がやってきた)最初の日からクオリティを備えた選手は適応になんの問題もないと言ってきた。フットボールはそんなに複雑なスポーツではない。ピッチは常に同じで、対戦相手もいつも11人、ボールも変わらず、ゴールは動かない。フットボールとはシンプルなものさ」

 右サイドから極上のプレービジョンで攻撃の起点となり、高精度な左足は流れの中でもセットプレーでも常に相手の脅威になる。何と言っても恩師アンチェロッティ監督のもとで抜群の得点感覚を取り戻したハメスには、いまや向かうところ敵なしな雰囲気すら漂う。

 コロンビア代表のファンタジスタだけがエバートンを引っ張っているわけではない。開幕からの快進撃を語る上で、ドミニク・キャルバート=ルーウィンの活躍をなかったことにはできないだろう。

 今月、イングランド代表初招集を受けた23歳の長身ストライカーは、プレミアリーグで4試合連続ゴール中。しかも4試合で6得点と、驚くべきペースでゴールネットを揺らし続けている。先月30日のリーグカップ4回戦、ウェストハム戦では今季2度目のハットトリックを達成しており、公式戦全体では6試合で9得点と絶好調だ。

 プレミアリーグ開幕から4試合連続ゴールはエバートン史上初。ブライトン戦ではハメスのショートコーナーを起点に、ギルフィ・シグルドソンのクロスに頭で合わせて先制点を奪った。昨季開幕以来、ヘディングでプレミアリーグ最多の7得点を挙げている。

 アンチェロッティ監督も「(ゴール量産の)理由は1つではない。彼は自分に自信を持っているし、我々は彼の改善し続ける姿を見ている。そして、ゴールを決めることこそがストライカーにとって最も重要なモチベーションだ。これがまさに今のドミニク・キャルバート=ルーウィンなんだよ」と手放しで背番号9の若きエースストライカーを称えた。

 キャルバート=ルーウィンの得点パターンを見ると、際立っているのがワンタッチゴールの多さだ。今季記録した9つのゴールのうち、8つがワンタッチで、残る1つも2タッチで決めたものだった。

 柔軟なポストプレーで巧みにボールをキープしながら前線の起点になり、ゴール前では抜群の跳躍力で空中戦を制し、相手DFとの一瞬の駆け引きでも優位に立つ。水準以上のスピードはカウンター発動時にも有効で、ペナルティエリア内外で様々な武器をチームに還元できるワンタッチゴーラーという珍しいプレースタイルを確立している。

若きストライカーが迎える本格開花の時

ハメス・ロドリゲス
【写真:Getty Images】

 プロキャリア初のハットトリックを達成したプレミアリーグ第2節のウェストブロムウィッチ戦終了後、キャルバート=ルーウィンは『BTスポーツ』のカメラの前に立った。そこで彼は自らの成長にアンチェロッティ監督からの教えが生きていることを明かしていた。

「正直に言うと、カルロは毎日、ワンタッチゴーラーになるために取り組む僕の姿を見てくれている。ゴールネットにボールをプッシュするため、ペナルティエリア内の正しい場所にいるようにとね。今日は間違いなく感謝しないと。練習でやっていることをピッチ上で表現できたのは本当によかった。それが僕にとって最大のご褒美だよ」

 アンチェロッティ監督はキャルバート=ルーウィンが今季2度目のハットトリックを成し遂げた先月30日のウェストハム戦後にも「彼が(イングランドで)最高のストライカーかはわからないが、私は気にしない。私にとって、我々のチームにとって、彼にとってそうであればいい」と絶賛した。

 昨季はエバートンが低迷する中でもリーグ戦でチーム最多タイの13得点を挙げ、今季も開幕からノンストップでゴールネットを揺らし続ける。ついにイングランド代表から初招集を受け、直後の試合だったブライトン戦でもチームに勝利をもたらすきっかけの1点を奪った。

「自分を信じることだ。僕は常にここでゴールを決められると信じてきたし、努力することを決してやめず、(助言に)耳を傾け、学んできた。時にはタイミングだとか年齢、成熟度というのもあるんだろうけど、僕は過去の経験から学び、そこから得られるものを成果に変えている」

 ブライトンに快勝し、キャルバート=ルーウィンは『BTスポーツ』のカメラに充実した表情でそう語った。2016/17シーズンに加入し、若くして出場機会を得ながらなかなか殻を突き破れていなかった逸材が本格開花の時を迎えようとしているようだ。

 いくらハメスが優秀なプレーヤーで、いくつもチャンスを生み出したとしても、それをゴールに変えるストライカーがいなければ結果にはつながらない。加えてGKを除く守備陣の踏ん張りや、ドゥクレをはじめとした中盤の選手たちの献身など、あらゆる要素がうまく噛み合って、今のエバートンには最高の好循環が生まれている。

 アンチェロッティ監督の薫陶を受け、クラブ史上最高の快進撃を力強くけん引するハメスとキャルバート=ルーウィンから今後も目が離せない。

(文:舩木渉)

【了】

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