プロサッカー監督はスタメンとベンチをどう選ぶのか? ベガルタ仙台元監督が明かす【渡邉晋マネジメント論 前編】

ゴールからの逆算、すなわち「良い立ち位置」を追い求め続けた監督時代の6年間を時系列で振り返りながら、いまだ仙台サポーターから絶大な支持を得る「知将」の戦術指導ノウハウをあますところなく公開した渡邉晋氏初の著書『ポジショナルフットボール実践論』から、チームマネジメント論の章から一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:渡邉晋)

2020年10月24日(Sat)10時00分配信

text by 渡邉晋 photo Getty Images
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知将が語るスタメン11人の選び方

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【写真:Getty Images】

私のチームマネジメント論についてお話ししたいと思います。私は基本的に、選手の成長、チームの成長、クラブの成長を第一に考える教育者タイプの監督であると自覚しています。だからこそ、前の試合からの流れ、前年からの流れ、その週のトレーニングに励む選手の様子や心理などを重視し、観察しています。

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 そうした志向は、もちろん試合に臨むメンバーの選択、ゲームプランの考え方にも影響を与えます。私はスタメン11人と、ベンチの18人を選ぶとき、それを決めるにあたり、あらゆる考えが何十周と頭の中を駆け巡ります。

 結果的には最初に思い描いた11人に落ち着くことが多いのですが、自分の中では、何十周もした末にたどり着いた結論なので、そこで選んだ11人には、少なくとも、大きな修正を施せるハーフタイムまでは乗り切ってほしい、それができるメンバーを選んだという自負があります。それゆえに、交代のタイミングを意図的に遅らせることがあります。

 ある試合で、若い選手を起用したときは大変でした。明らかに試合に入れていない。でも、そのとき私は交代させませんでした。最終的には足を攣って交代せざるを得なかったのですが、その試合にスタメンで起用したのは私自身なので、その決断には自信を持っていました。そして何より彼には降りかかった試練を乗り越えてほしかったのです。

今だから明かせる反省点とは?

 そのような思い、ともすればちょっとした意地を持って、使い続けたゲームもありました。それがプロの世界ではたして良いのかどうかは、わかりません。しかし、結果もそうですが、どうしても選手の成長を優先してしまう瞬間のほうが多かったと感じています。

 ただ、自分自身の反省としては、もう少し早く決断して動いたほうがよかったと思うゲームもありました。前半のうちに選手交代をしたのは、おそらくこれまで3回しかなかったと思います。 

 もちろん、早く交代ができるから良いとか悪いとか、そういう話ではありませんが、もっと早く決断し、何らかのアクションを起こす。それによってゲームの流れを変えたり、結果を変えたりすることができただろうと、それについては今思うと反省すべきところも多かったと思っています。

 私は基本的に18人のメンバーを選んだ時点で、ゲームプランはある程度決まっています。そのプランがいくつあるかは試合によって異なりますが、ゲームが始まる時点で、それまで準備してきたものが、プランBやプランCへの変化を含めて、メンバー構成という形で表現されます。

(文:渡邉晋)

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『ポジショナルフットボール実践論 すべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる』


定価:本体1700円+税

≪書籍概要≫
渡邉晋は《切る》《留める》《解放》など独自の言語を用い、ベガルタ仙台に「クレバーフットボール」を落とし込んだ。実は選手を指導する際、いわゆる『ポジショナルプレー』というカタカナ言葉は一切使っていない。
にもかかわらず、結果的にあのペップ・グアルディオラの志向と同じような「スペースの支配」という攻撃的なマインドを杜の都に浸透させた。フットボールのすべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる――。
ゴールからの逆算、すなわち「良い立ち位置」を追い求め続けた監督時代の6年間を時系列で振り返りながら、いまだ仙台サポーターから絶大な支持を得る「知将」の戦術指導ノウハウをあますところなく公開する。

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【了】

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