久保建英が解決策に? ドロー沼にはまるビジャレアルを救うには…。得点力不足解消の糸口となるか【分析コラム】

ラ・リーガ第13節、レアル・ベティス対ビジャレアルが現地時間13日に行われ、1-1の引き分けに終わった。久保建英は6試合ぶりにリーグ戦で先発となったが、ゴールに絡む活躍はできず。しかし、久保のプレーが得点力不足に悩むチームの解決策になるかもしれない。(文:加藤健一)

2020年12月14日(Mon)10時04分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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CF不在で4戦連続ドロー

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【写真:Getty Images】

 ビジャレアルはこれで4戦連続ドロー。4試合で3失点は守備陣が大崩れしていないことを示しているが、3得点ではなかなか勝つことは難しい。

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 レアル・ソシエダとレアル・マドリードとの引き分けは悪い結果ではないが、この2試合の得点はいずれもPKによるもの。エルチェ戦は無得点に終わり、迎えたベティス戦のゴールもCKからだった。4試合続けて流れの中からゴールを決めることはできていない。

 パコ・アルカセルの不在が響いているのは明らかだ。アキレス腱の負傷でレアル戦とソシエダ戦を欠場。エルチェ戦では後半開始からピッチに立ったが、ハムストリングを負傷して20分ほどでピッチを後にしてしまった。ジェラール・モレノに次ぐ5得点を挙げているパコ・アルカセルが先発した試合の平均得点が1.4点なのに対し、ここ4試合でチームは平均0.75点に留まっている。

 カラバフにクラスターが発生したため、10日のELグループステージ最終節は延期となった。木曜日のUEFAヨーロッパリーグ(EL)と週末のリーグ戦を並行する日程が続いていたビジャレアルにはつかの間の休養を与えられ、エルチェ戦から中6日でこの試合に臨んでいる。

 前線はエルチェ戦から2人を変更した。後半から45分プレーした久保建英は右サイドハーフで起用され、2トップにはジェラール・モレノとともに20歳のフェルナンド・ニーニョが先発している。

久保建英が得点力不足の解決策

 4-4-2の右サイドハーフに入った久保は、周囲と良い連携を見せていた。4分には中央から逆サイドのマヌ・トリゲロスに展開。フィニッシュにはつながらなかったものの、この後の一連のプレーで得たCKからビジャレアルは先制に成功している。

 ビジャレアルがボールを保持したときは両サイドハーフがインサイドにポジションを取るのがこの試合の約束事だった。左のトリゲロスはやや低い位置、久保は相手のライン間で、FWのジェラール・モレノは右サイドに開いてタメを作る役割。モレノと久保が同時に先発するのは公式戦で初めてだったが、ポジションが重なることなく互いの特徴を引き出しあっていた。

 ニーニョはボールにあまり絡むことができず、イエローカードをもらって前半で退いたが、オフ・ザ・ボールでの貢献度は高かった。相手の左サイドバックと左センターバックの間にポジションを取って2人をくぎ付けに。久保やトリゲロスはライン間のスペースを使えるようになり、サイドバックのペルビス・エストゥピニャンが駆け上がるためのスペースを生みだしていた。

 無得点に終わったエルチェ戦後にウナイ・エメリ監督は「(前半は)深さを見つけることができなかった」と振り返ったが、ニーニョの起用によって改善された。敵陣でのボール保持の局面においては、ニーニョがパコ・アルカセルの代役を見事に果たしていた。

 久保が加入後唯一となるゴールを決めた10月22日のスィヴァススポル戦では、カルロス・バッカが深さを作っていた。ライン間で活きる久保が活躍するためには、深さを作れる選手が必要。そして、それは得点力不足に悩むビジャレアルの解決策になるはずだ。

「引き分けをポジティブに捉える」

 ハーフタイムには前半に警告を受けていたニーニョを下げて、ジェレミ・ピノを投入。前述のとおり深さを作っていたニーニョが下がったことで、ベティスはライン間のスペースを生めることができた。久保やトリゲロスは存在感を失い、ベティスは押し込むことに成功。セットプレーの流れから同点に追いついた。

 ビジャレアルが苦しかったのは、立て続けに負傷者が出たことだろう。40分にビセンテ・イボーラが負傷交代した直後にエストゥピニャンが負傷してしまった。

 セビージャ時代に師事したエメリ監督から絶大な信頼を得るイボーラは、今季ここまで公式戦18試合すべてに出場。かつては攻撃的MFとしてプレーしていた時期もあったが、ビジャレアルではアンカーで固定されている。

 イボーラに代わって出場したフランシス・コクランはアンカーよりはインサイドハーフで輝くタイプで、パレホとのコンビは少しバランスが悪かった。終盤にアンカーでプレーしたパレホは配球面では高いものがあるが、フィルター役としては物足りない。イボーラが下がった影響は大きく、チームとしてカバーすることもできなかった。

 58分には久保と負傷したコクランがピッチを後にした。久保のパフォーマンスは決して悪くなかったが、ビジャレアルはこれが3回目の交代機会だった。58分という早い時間ではあったが、勝ち点3を狙うためには攻撃的な交代カードを切る必要があった。

「我々は引き分けをポジティブに捉えることができる」とエメリ監督は試合を振り返った。「怪我の状況は(メンバーの)変更や試合運びに大きく影響した」というように、イボーラやエストゥピニャンといった新たな負傷者が出た中で、勝ち点1という結果を責める要素は見当たらない。

 一方で前線に目を向けると、パコ・アルカセルとバッカが不在の現状でニーニョの起用は一定の効果があった。主力を欠き、引き分けの沼にはまるチームは解決の糸口を見つけた。あとは、久保やニーニョといった若い選手たちのブレイクスルーを必要としている。

(文:加藤健一)

【了】

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