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完璧だったチェルシーのソン・フンミン封じ。韓国代表FW不発の理由はケインの不在だけでなく…【分析コラム】

プレミアリーグが22節、トッテナム対チェルシーが現地時間4日に行われ、0-1でチェルシーが勝利した。トーマス・トゥヘル監督就任後、チェルシーは2勝1分で6位に浮上。一方で、エースのハリー・ケインを欠くトッテナムは、相棒のソン・フンミンの不発が続き、リーグ戦3連敗で8位に転落している。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

ソン・フンミンが不発

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【写真:Getty Images】

 解任されたフランク・ランパードに代わって、トーマス・トゥヘルがチェルシーにやってきた。初陣となったウォルバーハンプトン戦はスコアレスドローだったが、ボールタッチ数は1000を超えた。新体制初勝利となったバーンリー戦でも2試合続けてボール保持率は70%を超えている。

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 迎えた3戦目の相手はトッテナム。トゥヘルの適性を問う試金石となる試合だった。

 スコアこそ0-1だったが、90分の大部分でチェルシーが主導権を握っていた。75分までにトッテナムが放ったシュートはわずか2本。終盤は強引に打開しようとしたが、チェルシーのゴールは堅かった。

 トッテナムの連敗は3に伸びている。ハリー・ケインはリバプール戦で負傷交代し、この2試合は欠場。復帰は早くても10日のFAカップ・エバートン戦か、13日のマンチェスター・シティ戦になるという。

 相棒を失ったソン・フンミンはリバプール戦を合わせて3試合連続でノーゴール。チーム全体で見ても2試合連続でゴールがない。ゴールが遠いだけでなく、チャンスすら作れていないのは深刻な問題になっている。

 推進力とスピードを活かしたドリブルはソン・フンミンの魅力だが、孤立したこの試合では悪目立ちしていた。シュートはわずか2本。チーム全体でもシュートは7本だったので、チーム全体として抑えられたわけだが、ソン・フンミンを封じられたトッテナムは攻撃の術を失っていた。

韓国代表FWを封じたチェルシー主将

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【写真:Getty Images】

「決して守備の組織を崩さなかったし、高く押し上げるためのインテンシティと高い位置で守る勇気を失わなかった。だから私はとても嬉しいよ」

 トゥヘル監督はチームのディフェンスを称賛している。監督交代後、チェルシーは3試合すべてでクリーンシートを達成。ケインを欠いているとはいえ、この日のトッテナムのカウンターを完璧なまでに封じていた。

 トッテナム戦で守備のキーマンになっていたのは、セサル・アスピリクエタである。3バックの右でプレーするアスピリクエタはソン・フンミンから自由を奪い、前を向かせることはほとんどなかった。

 アスピリクエタが犯した4つのファウルはすべてソン・フンミンへのもの。そのうち3つは敵陣右サイドでのもので、ピンチを未然に防いでいた。ディフェンシブサードで犯した88分のファウルはイエローカードの対象となったが、止めていなければ得点機になっていた。

 ソン・フンミンの不発は、決してケインの不在だけが理由ではない。泥臭い仕事を完遂したチェルシーのキャプテンに対し、ソン・フンミンはフラストレーションを募らせていた。

 上位争いに絡むためには堅い守りが必要不可欠だ。リバプールとマンチェスター・シティは攻撃的なチームだが、優勝したシーズンはいずれも失点数が少なかった。今季のシティもリーグ最少の13失点で首位に躍り出ている。

 トッテナムを無失点に抑えたチェルシーは自信を持って帰ることができた。混戦のプレミアリーグでチェルシーが巻き返すチャンスはまだまだあるはずだ。

(文:加藤健一)

【了】

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