レアル・マドリードの両翼は全く輝けない。1人退場のアタランタに1点止まりは危険【CL分析コラム】

チャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の1stレグ、アタランタ対レアル・マドリードが現地時間24日に行われ、0-1でアウェイチームが勝利している。17分にレモ・フロイラーが一発退場を喰らったことで、マドリーは長い時間アタランタを押し込むことができた。しかし、1点のみは物足りない。(文:小澤祐作)

2021年02月25日(Thu)11時47分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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17分の退場が試合を決める

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【写真:Getty Images】

 インナーラップを仕掛けたフェルラン・メンディが敵陣深くでヴィニシウス・ジュニオールからスルーパスを引き出すと、たまらずレモ・フロイラーがファウルで阻止。これを見たトビアス・スティーラー主審は「決定機阻止」としてフロイラーにレッドカードを提示した。開始わずか17分のことである。

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「思った通りの試合が出来なかったという苦味が残っている。試合を台無しにされたからね。11人対11人だった場合の結果はどうなっていたかわからないが、今回とは別の試合に展開になっていたはずだ」。

 アタランタを率いるジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督はこう試合を振り返っている。その指揮官の言葉通り、ホームチームは中盤の中心であるフロイラーを欠いたことで、アグレッシブなマンツーマンディフェンスというストロングポイントが消失。自陣に引かざるを得なくなるなど、思った通りの試合運びを見せることが早い時間で不可能となってしまった。

 ボールをクリアし、前線に残っている選手がそれを収めることができても、他の選手の上がりを待つ前にカットされてしまう。パスを繋ごうにも、レアル・マドリード側の素早い寄せを前に慌てて精度が落ちる。引いているため、高い位置で奪ってからのショートカウンターも発動できない。アタランタはまさに、1点を取ることができれば奇跡といった内容だった。

 マドリーに押し込まれる展開が続く中、守備陣はよく耐えていた。それぞれがペナルティーエリア内で強さを示し、GKピエルルイジ・ゴッリーニのセーブも冴えた。それだけに、86分のF・メンディによる意外性のある右足シュートを突き刺されたのは悔やまれるところ。完璧に崩されたわけではなかったので、なおさらだ。

レアルは勝った。しかし…

 セルヒオ・ラモスにエデン・アザール、ダニエル・カルバハルにカリム・ベンゼマ…。多くの離脱者を出す中、マドリーはよく勝ち切った。終盤にゴールを生んでそのまま1-0で締めるという、らしい戦いぶりだったと言えるだろう。

 ただ、100点満点の出来だったかというと決してそうではない。結果こそ掴んだものの、あえて内容面にも目を向けるならば、やはり厳しいものがあった。

 17分という早い時間で10人になったアタランタは、先述した通り自陣に引いて対応している。引いた相手を崩し切るというのはどのチームにとっても容易なことではないが、それにしてもマドリーは迫力がなさすぎる。エースのベンゼマ不在では攻撃力が半減するという評価を覆すことが、一人少ない相手を前にしてもできなかった。

 この日のマドリーは3トップの中央にイスコを置いている。もちろん、同選手は純粋なストライカータイプではない。流れの中ではそのポジションに留まることはなく、ライン間をある程度自由に動いている。いわゆる「ゼロトップ」であり、アタランタの中盤で数的優位を作り出したのだ。

 そのイスコはよくボールに触れた。足下の技術は相変わらずハイレベルで、やや持ちすぎる場面もあったがDFを引き付けて剥がす作業を冷静にこなしている。また、ルカ・モドリッチも豊富な運動量を生かしてボールによく絡み、トニ・クロースは淡々とパスを捌き続ける。カゼミーロは積極的に攻撃に厚みを加えるなど、中盤のクオリティーはやはり高かった。

 しかし、一番にゴールという部分で存在感を示さねばならないヴィニシウス・ジュニオールとマルコ・アセンシオの両サイドが不発。前者はチャンスこそ作っていたが、二度訪れたビッグチャンスを課題である決定力不足を露呈しふいに。後者も消極的なプレーが多く、ほとんど存在感を示すことができていない。また、途中出場のマリアーノ・ディアスもなんのためにいるのかわからぬまま試合を終えている。

 今に始まったことではないが、彼らの仕事量の少なさは厳しいものがある。この日のマドリーはシュート19本を放ったが、奪ったのはF・メンディのミドルによる1点のみ。相手が約73分間を10人で戦っていたことを考えれば、最低でも2点は奪うべきだった。離脱者が多く苦しい状況にあることは理解しているが、そういう時にこそ力を発揮すべき選手が全く輝けないのは大きな問題である。

 0-1はアタランタにとって許容範囲だろう。アウェイゴールを奪われることに注意を払わなくて良い2ndレグは、より前に出てくることは間違いない。マドリーがアウェイで1点しか奪えなかったことを後悔する可能性も、決して低いとは言えないだろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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