マンUはローマに奇跡を起こされても不思議ではなかった。緩さが招いた被シュートの嵐、その姿はまるで…【EL分析コラム】

2021年05月07日(Fri)11時44分配信

シリーズ:分析コラム
text by 小澤祐作 photo Getty Images
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ヨーロッパリーグ(EL)準決勝2ndレグ、ローマ対マンチェスター・ユナイテッドが現地時間6日に行われ、3-2でホームチームが勝利。ただ、2戦合計スコアで上回ったユナイテッドがファイナル進出を決めている。結果的にタイトル獲得に近づいた赤い悪魔だったが、非常にギリギリの戦いだったと言わざるを得ない。(文:小澤祐作)

緩い入りでいきなりピンチを招く

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【写真:Getty Images】

 ホームでの1stレグは6-2の大勝。マンチェスター・ユナイテッドは大きなアドバンテージを得てイタリアの首都へ乗り込むことができた。そしてオーレ・グンナー・スールシャール監督は賭けに出ることなく、2ndレグでも現状の主力をほぼ起用。普通にいけば、問題なく決勝へと駒を進めるはずだった。

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 しかし、ホームで4点差をつけて勝利したことが選手たちのモチベーションを低下させてしまったのか、ユナイテッドは緩い試合への入りをみせる。奇跡の逆転を信じて立ち上がりからギア全開で挑んできたローマにいきなり押し込まれ、なんと10分を経過した時点で4本のシュートを浴びていた。

 ユナイテッドのフォーメーションは4-2-3-1。中盤底2枚はポール・ポグバ、フレッジとなったが、ここのフィルターがまったく機能しておらず、相手エースであるエディン・ジェコへの縦パスを何度か通された。また、その後ろから出てくるロレンツォ・ペッレグリーニやブライアン・クリスタンテらも捕まえることができず、ユナイテッドの最終ラインはズルズルと深くへ下がっていった。

 前掛かりになっていたローマに対しユナイテッドが攻める時間ももちろんあったが、この日はらしからぬ軽率なパスミスやボールロストが散見。良い形で奪っても、すぐにローマへ返してしまうことが多かった。全員が、というわけではないが、ユナイテッド側は明らかに気持ちが入っていなかったのだ。

 39分、スールシャール監督率いるチームはエディンソン・カバーニのゴールで先制に成功するのだが、これがさらに油断を招いたのか、その後もギアが上がることはなく、一方のローマも気を落とさなかった。そのため、1-0の状態こそ保てたものの、勢いがホームチームにあるまま前半を終えることになった。

数年前を思い出すデ・ヘアのセーブ連発

 後半、スールシャール監督はアーロン・ワン=ビサカ、ルーク・ショーを下げ、ブランドン・ウィリアムズとアレックス・テレスを投入。両サイドバックを入れ替える決断をした。

 ただこの両者もうまく試合に入ることはできず、ヘンリク・ムヒタリアンやペドロ・ロドリゲスのいるローマにサイドから何度か崩されピンチを招いている。ユナイテッドの守備強度は前半同様、高くなかった。そして57分にジェコに得点を許し同点とされると、その3分後に自陣でフレッジが軽率なミスを犯しクリスタンテにもゴールが誕生。あっという間にスコアをひっくり返された。

 ただ、ユナイテッドは68分に再びカバーニが点を決め試合を振り出しに。その後ローマの猛攻をギリギリで耐え、終盤にA・テレスのオウンゴールで1点こそ失い敗れたが、2戦合計スコアで3点をリードし決勝行きの切符を手にした。

 イングランドの名門は結果的にファイナル進出という目標を達成できたが、非常に際どいゲーム内容だったと言わざるを得ない。被シュート数は22本にも積み重なっており、守護神ダビド・デ・ヘアのセーブ数は実に10本を数えた。

「本来なら彼(デ・ヘア)がセーブする必要がない状況にすべきなのだが、今日のような試合では彼の存在が本当にありがたかった。要所で決定的なセービングをしてくれた。これまでのキャリアでもずっとそうしてきたようにね」と主将ハリー・マグワイアが話した通り、デ・ヘアの存在はユナイテッドにとって、そしてローマにとっても大きすぎた。彼がいなければ、イタリアの首都クラブに2戦合計スコアで逆転されても不思議ではなかっただろう。

 緩慢な守備対応から多くのシュートを浴び、デ・ヘアが神懸かり的なセーブを連発して結果を手に入れる。まるで数年前までのユナイテッドを思い出すかのような、そんなローマ戦だった。この試合の反省点を活かし、良い形でビジャレアルとの決勝に臨んでほしいものだ。

(文:小澤祐作)

【了】

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